障がい者との関わり方

“頼った後”が気まずい…その気持ち、どうすればいい?

「助けてもらってよかったはずなのに、なんだか気まずい」「頼ったあと、ちょっと距離を感じる」──そんな経験はありませんか?頼ることができるようになった今だからこそ起こる、“頼った後のモヤモヤ”。その気持ちと、どう付き合っていけばいいのかを一緒に考えていきます。

頼れたはずなのに、なぜか落ち着かない

勇気を出して「助けて」と言えた。ちゃんと手を貸してもらえた。――なのに、なんだか心がザワザワする。

「あんなに話しすぎて引かれたかな」「面倒だと思われたかも」「もう頼らない方がいいかもしれない」

そんなふうに、“頼った後の気まずさ”を感じたことはありませんか?

実はこれ、私自身も何度も経験してきたことです。

助けてもらえたことに感謝しているはずなのに、相手の表情や返答が気になって、「嫌な思いをさせたんじゃないか」と不安になる。その結果、「次はもう頼まない方がいいかも」と自分の中でブレーキをかけてしまうのです。

「迷惑だったかも」と思う気持ちの背景

こうした“頼った後のモヤモヤ”には、いくつかの背景があると感じています。

  • ①支援を「特別なこと」と感じている
    まだ支援に慣れていないと、「お願いすること=負担をかけること」と感じやすく、申し訳なさや遠慮が出てきます。
  • ②相手の反応に敏感になっている
    支援を受けた後、相手がちょっと無言だったり、表情が硬かったりすると、「やっぱり迷惑だったかな」と思ってしまう。
  • ③過去に「頼って失敗した」経験がある
    頼ったことで関係がこじれたことがあると、「また同じことが起きるかも」と無意識に警戒してしまう。

これらはすべて、「人と関係を大切にしたい」「嫌われたくない」という気持ちの裏返しです。

気まずくなったときの“思い込みフィルター”に気づく

「頼った後の気まずさ」は、実際には“相手の気持ち”よりも、“自分の思い込み”から来ていることがよくあります。

たとえば、支援者がいつもより少し無口だったとしても、実際はただ疲れていただけかもしれません。たまたま考え事をしていただけかもしれません。

でもこちらは、「自分のせいで機嫌が悪くなったのかも」と、フィルターを通して受け取ってしまう。

大切なのは、そのフィルターに気づいてあげること。そして、自分の中で「たぶん大丈夫」と“仮置き”してみることです。

それだけで、過剰な不安に振り回されずにすむことがあります。

頼ったあとのフォローが、関係を深める

もし「なんとなく気まずいな」と感じたときは、あえて一言フォローを入れてみるのもおすすめです。

たとえば、「昨日は話を聞いてくれてありがとう。あれからすごく気持ちが軽くなりました」

この一言だけでも、相手は「あ、頼ってくれたことを本人もちゃんと受け止めているんだな」と安心します。

感謝の気持ちを伝えることは、「あなたの支援は私にとって意味があった」と伝えることでもあります。

そうすることで、お互いに“頼られてよかった・頼ってよかった”という温かいつながりが生まれやすくなります。

もし、少し距離を取られている気がしたら

なかには、「頼ったあとから、相手が少し距離を取ってきたような気がする」と感じるケースもあるかもしれません。

でも、それが本当に「頼られたのが嫌だった」のか、「ただ忙しいだけ」「そのときだけ余裕がなかった」のかは、すぐには判断できません。

私はそんなとき、まず“自分を責めない”と決めています。

そして、相手が距離を置きたくなったのだとしたら、それも「その人の選択」。私が“頼ったことそのもの”を否定する理由にはなりません。

支援関係は、いつも順風満帆ではありません。でも、頼ったことは、あなたが“信頼して歩み寄ろうとした証”なのです。

まとめ:頼った“その後”も、自分を大切にしていい

頼ることができるようになると、その先に「頼った後、どう過ごすか」という新たな課題が見えてくることがあります。

気まずさ、遠慮、後悔、自己否定……どれも、誰もが感じるごく自然な感情です。

でも、それらの感情に飲み込まれるのではなく、「頼れた自分、よく頑張ったな」とまず認めてあげること。

頼る力は、あなたの中に育っている大切な資源です。その芽を、どうかこれからも自分のペースで、大事に育てていってください。

“助けて”がうまく言えないあなたへ――頼るための小さな練習前のページ

“もっとこうしてほしい”が言いづらいとき、どうする?次のページ

関連記事

  1. 障害と向き合う

    “支えられる側”から“支える側”へ ― 変わり続ける自分

    1. “支えられる”ことへの葛藤幼い頃から、私は“支えられる…

  2. 共生・バリアフリー

    “支援する側”だけじゃない ― 当事者として、支援者として

    障害当事者でありながら支援者になるということ障害のある当事者が、福祉…

  3. 障害と向き合う

    “自分を許す”ということ ― 弱さを抱えたまま前に進む

    「あのとき、こうしておけばよかった。」「なんで自分は、もっと頑張れ…

  4. 共生・バリアフリー

    “普通って何?”と立ち止まった日 ― 多数派基準の息苦しさと向き合う

    「普通にして」って、どういう意味?「もうちょっと普通にしてくれる?」…

  5. 障がい者との関わり方

    障害者が無理して笑うときの気持ち

    「明るくいること」が自分を守る手段だった「笑っていた方が空気を壊さな…

  6. 障害と向き合う

    笑顔”の裏にある本音 ― 障害者が無理して明るくなる瞬間

    「明るくいること」が自分を守る手段だった「笑っていた方が空気を壊さな…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


  1. 障害と向き合う

    “お願いする”って勇気がいる【実践編】 ― 断られたとき、どう乗り越えるか
  2. 障がい者との関わり方

    障害当事者が語る伝え方と頼り方の工夫
  3. こころのケア

    “自分の気持ちをうまく伝えられない”と思うとき
  4. 生き方・自己理解

    “助けて”がうまく言えないあなたへ――頼るための小さな練習
  5. 働き方

    “生きがい”を支える小さな習慣
PAGE TOP