支援を受けている中で「ありがたい」と思いつつ、「本当はもう少しこうしてほしい」「ちょっと違和感がある」と感じることはありませんか?でも、それを相手に伝えるのはとても勇気がいること。今回は、そんな“言いづらい本音”とどう向き合えばいいか、一緒に考えてみましょう。
「ありがたいけど…」と言い出せないのはなぜ?
支援を受けていると、「本当はもう少し違うやり方が合っている気がする」「こうしてくれた方が助かるかも」と思うことが出てくるのは自然なことです。
でも、実際にそれを相手に伝えるのは、とても難しいもの。「せっかくやってくれているのに…」「文句を言ってるみたいで悪い気がする」と、心のブレーキがかかってしまう方も多いのではないでしょうか。
特に、「いつもよくしてくれている人」「信頼関係ができてきた人」ほど、言いづらくなるものです。関係を壊したくない、嫌われたくない。その気持ちが、言葉を飲み込ませてしまうのです。
そして実際には、「○○していただいて助かっています」といった丁寧な前置きすら出てこないこともあるでしょう。私自身もそうです。「言いたいけど、言葉が出てこない」「うまく伝えられる気がしない」――そのまま黙ってしまうことも多いのが現実です。
我慢を続けると、関係も疲れてしまう
「自分が我慢すればいいや」と思って、そのまま気になることを飲み込んでしまうこともあるかもしれません。
でも、我慢を続けていると、少しずつストレスがたまり、自分自身がしんどくなっていきます。そしてその“もやもや”は、意外と相手にも伝わってしまうものです。
結果として、「最近、なんとなくぎこちないな」「うまくいってない気がする」という空気が生まれ、関係性自体に影響が出てしまうこともあります。
支援は、安心してやり取りできる関係の中でこそ、効果を発揮します。だからこそ、違和感を小さなうちに言葉にしていくことが大切なんです。
伝えるときのコツは「お願い」と「感謝」をセットにすること
「もっとこうしてほしい」を伝えるときは、否定ではなく“お願い”の形にすることがポイントです。
たとえば、
- 「○○していただいて助かっています。もし可能なら、○○のときはこうしてもらえるともっとやりやすいです」
- 「前にしてもらった○○、とてもありがたかったです。今後もああいう形でお願いできたらうれしいなと思っています」
……と、こうした言い方ができたら理想ではありますが、現実にはそこまで言葉が整わないことのほうが多いです。
「あのときちょっと困った」「次はこうだったらありがたいな」――そんな断片的な気持ちでもいいのです。少しずつでも自分の内側から“声”を出していけたら、それが支援の質を変えていく一歩になります。
それでも言いづらいときは、別の手段を使ってみる
どうしても口頭で伝えるのが難しいときは、メモやLINEなどの文章で伝える方法もあります。
たとえば、
- 「ちょっと言いづらくて、文字にしました。もし読んでくれたらうれしいです」
- 「いつもありがとうございます。実は少し気になっていたことがあって、よかったら読んでください」
文章なら、落ち着いて言葉を選ぶことができますし、相手にも考える時間を与えることができます。
また、第三者(相談支援専門員や家族など)に間に入ってもらうのも一つの方法です。「直接だと感情的になってしまいそう」というときは、調整役を頼るのも立派な自己表現です。
伝えたあとの「言わなきゃよかったかも」への対処
勇気を出して伝えたあと、「なんだか空気が変わった気がする」「言わなきゃよかったかな…」と後悔することもあるかもしれません。
でも、それは“言ったこと”が悪いのではなく、“相手も戸惑っているだけ”かもしれません。誰だって、フィードバックを受けた直後は気持ちの整理が必要です。
しばらく経ってから、「この前は言ってくれてありがとう」と言ってくれることもありますし、「あれから気をつけてるよ」と自然に変わることもあります。
一時的にぎこちなくなったとしても、それは関係が壊れたのではなく、“変わろうとしている途中”だと思ってみてください。
あなたの本音は、尊重されていい
支援を受ける中で「ありがたいけど、もう少しこうしてほしい」と思うのは、ごく自然なことです。
それはわがままでも、身勝手でもありません。むしろ、支援を“より良いものにしていこう”とする前向きな気持ちのあらわれです。
大切なのは、相手を否定せず、自分も我慢しすぎず、「こうだったらもっと助かるな」という思いを、少しずつ伝えていくこと。
あなたの本音は、尊重されていいものです。支援関係がより信頼できるものになるように、小さな言葉のキャッチボールから始めてみませんか。
この記事へのコメントはありません。