生き方・自己理解

うまくいかなかった支援関係を、どう受け止めればいい?

「支援者とうまくいかなかった」「関係を築こうとしたけど、結局すれ違って終わってしまった」――そんな経験に、心がモヤモヤしている方へ。

人との関係には、どうしても“相性”というものがあります。どちらかが悪かったわけでも、努力が足りなかったわけでもなく、それでも「合わなかった」と感じることは、誰にでも起こりうることです。

今回は、「うまくいかなかった支援関係」をどう受け止め、次に進んでいくかを、やさしく考えてみたいと思います。

うまくいかなかった支援関係も、“失敗”ではない

誰かに支援を求めてみたけれど、思っていたような関わり方ができなかった。

こちらの思いやニーズが伝わらなかったり、相手の対応に戸惑ったり、「なんとなく信頼できなかった」と感じたり…。そんなとき、私たちはつい「自分の伝え方が悪かったのかも」「もっと我慢すればよかった?」と、自分を責めてしまいがちです。

でもまず伝えたいのは、支援者との関係がうまくいかなかったとしても、それは“失敗”ではないということ。

人と人との関係には相性があります。たとえどちらも誠実だったとしても、合わないことはある。支援という関係性も、例外ではありません。

うまくいかなかったことは、決してあなたが悪かったからではないのです。

「合わなかった」を受け止めることが、前に進む第一歩

支援を受けようとすることは、少なからず“勇気”がいります。

だからこそ、うまくいかなかったときのダメージは大きく、「もう誰にも頼れないかも」と感じてしまうこともあります。

でも、そんなときこそ、自分の心の中でそっと言ってみてください。

「今回は、相性が合わなかっただけかもしれない」と。

誰にでも「話しやすい人」「なんだか緊張してしまう人」「安心感のある人」「ちょっと苦手な人」がいるように、支援者との関係も“人間関係”のひとつです。

うまくいかなかったことを、責める材料にするのではなく、「自分にとって、どんな人が合うのか」を見つけるヒントにできたら、それは立派な一歩になります。

残る「もやもや」は、頑張った証

関係がうまくいかなかったとき、あとに残るのは「後悔」や「不完全燃焼」のようなもやもやかもしれません。

「もっと自分の気持ちを伝えられたら…」「あの人に頼らなければ…」「何がいけなかったんだろう」

でも、そのもやもやは、あなたが一生懸命に向き合おうとした証拠でもあります。

本当に何も感じていなければ、もやもやすることすらありません。

うまくいかなかった支援関係のことを、心のどこかで「学びだった」と思える日が来るかもしれません。その日までは、もやもやごと持っていてもいいのです。

また頼ろうとするとき、“怖さ”があるのは当たり前

一度うまくいかなかった経験があると、「次もまた合わなかったらどうしよう」「嫌な思いをしたくない」と、支援を受けること自体が怖くなってしまうことがあります。

それはとても自然な反応です。自分を守るための感情です。

でも、少しずつでかまいません。

「今度は、こういう人に話を聞いてもらいたいな」「今回は、これだけは伝えてみようかな」と、自分の“求める支援のかたち”をゆっくり探してみてください。

一度うまくいかなかったからこそ、次に活かせる“視点”や“感覚”が、あなたの中にはもう育っています。

まとめ:「合わないこと」も、支援関係の一部

うまくいかなかった支援関係も、あなたの人生にとって、決して無意味ではありません。

それは、「自分がどういう関わりを求めているのか」を知るきっかけであり、「支援を受ける」ことをより深く考える時間にもなりえます。

人には相性があります。だから、支援者と合わなかったとしても、それは“あなたがダメだった”ということではありません。

誰にでも、たまたま出会えなかっただけのこと。いつかまた、自分に合った人と出会えると信じて、歩みを止めないでください。

あなたが過ごしてきた「うまくいかなかった時間」にも、ちゃんと意味があると私は思います。

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