生き方・自己理解

支援を受けて“よかった”と思えるのは、どんなとき?

「支援を受けることは悪いことじゃない」「頼ってもいい」と頭ではわかっていても、心の底から「支援を受けてよかった」と思えた経験って、案外少ないかもしれません。

今回は、そんな“支援を受けてよかったと思える瞬間”について、自身の体験や周囲のエピソードも交えながら、あらためて考えてみたいと思います。

頼った先で「救われた」「安心した」「自分を肯定できた」――そんな感覚が持てたとき、私たちはようやく「支援ってありがたいな」と実感できるのかもしれません。

支援を受けて「よかった」と思える瞬間って?

支援を受けるきっかけは、たいてい「困りごと」や「不安」から始まります。

たとえば、制度の使い方がわからないとき。自分の気持ちの整理がつかないとき。生活が思うようにいかず、しんどさを抱えているとき――。

そんなとき、支援者に出会って「よかった」と思える瞬間は、必ずしも“問題が解決したとき”とは限りません

むしろ、「自分の話を否定せずに聞いてくれた」「わかろうとしてくれた」「一緒に考えてくれた」ときに、ホッとした気持ちや救われた感覚が生まれるのだと思います。

支援って、「解決」よりも「安心」を届けるものかもしれない

多くの支援者は、「何か力になりたい」「役に立ちたい」と思って関わっています。

でも、支援を受ける側からすると、「正しいアドバイス」や「的確な提案」よりも、“今の自分を否定せず、味方になってくれる存在”でいてくれることのほうが、心に響くことがあるんですよね。

支援とは、「こうすればいいんですよ」と教えることではなく、「あなたの気持ち、ちゃんと受け取りましたよ」と伝えること

その安心感があってこそ、人は少しずつ自分のペースで前を向いていけるのだと思います。

しっくりくる支援は、「一緒に考えてくれる人」だった

私自身、「支援を受けてよかった」と実感できたのは、「正解を与えてくれた人」ではありませんでした。

むしろ、「一緒に悩んでくれた人」「『それは難しいですよね』と共感してくれた人」「『どこから手をつけましょうか?』と並走してくれた人」――そんな存在でした。

支援とは、相手の人生の「主役」になることではなく、一緒に地図を広げてくれる“ナビゲーター”のような存在なのだと思います。

「あなたはこうすべき」と指し示すのではなく、「一緒に探していきましょう」と言ってくれる人。

そんな支援者に出会えたとき、自然と「頼ってよかったな」と思えるのかもしれません。

「よかった」と思えた経験が、次の一歩の力になる

支援を受けるということには、勇気がいります。うまくいかなかった経験がある人にとっては、なおさらです。

だからこそ、「あのとき頼ってよかった」という経験は、次にまた頼ろうと思える“根拠のある安心感”になります。

支援を受けることが、人生の中で「ちゃんと力になってくれた」と感じられるとき、自分のなかに「支援は怖くない」「もう一度頼っても大丈夫」という感覚が育つのだと思います。

それは、支援に対する信頼だけでなく、「自分自身を頼っていい存在だと思える感覚」にもつながっていきます。

まとめ:支援は“選んでいい”、あなたの味方はきっといる

支援を受けて「よかった」と思える瞬間は、ほんの些細なやりとりの中にあります。

自分の言葉をちゃんと受け止めてくれたこと。寄り添う姿勢が伝わってきたこと。「あなたのままで大丈夫」と言ってくれたこと――。

すべての支援がうまくいくわけではないけれど、それでも私たちは「自分に合った支援者」「安心できる関わり方」に出会う可能性を持っています。

支援は選んでいい。あなたに合う人は、きっとどこかにいる。

そして、「支援を受けてよかった」と思える経験は、これからのあなたを支える大きな力になってくれるはずです。

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