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障害者の伝え方と支援の受け止め方

障害者の伝え方と支援の受け止め方

「助けて」が言えなかったあの日の気持ち

「迷惑をかけたくない」「自分でやらなきゃ」――そんな思いから支援を断ってきたこと、ありませんか?障害当事者として、助けを求めることが「弱さ」と捉えられてしまう現実と、それに対する葛藤を正直に綴ります。

「できないこと」に気づかれたくなかった

支援を受ける=“できない人”という見られ方をされたくなくて、無理をしていた時期がありました。けれど、その無理が自分を追い詰め、人との距離をつくっていたと気づいたのは、だいぶ後になってからのことでした。

支援を断ることが、自分を孤独にしていた

「大丈夫です」と繰り返すうちに、誰も手を貸さなくなってしまった…。実はそれ、よくあるケースです。断られると相手も遠慮するようになります。断るほどに、頼る選択肢が狭まってしまうのです。

「頼る」ことは、信頼のサインでもある

勇気を出してお願いしたとき、相手が嬉しそうに引き受けてくれたことがあります。その笑顔に、「頼ることって悪くない」と初めて思えました。信頼されているからこそ、頼まれることもあるのです。

支援の「頼み方」で変わる関係性

同じ「お願い」でも、伝え方ひとつで受け取られ方は大きく変わります。障害支援の現場で得た経験をもとに、相手との関係を良好に保つ“頼み方のコツ”を紹介します。

「すみません」より「ありがとうございます」

支援を頼むとき、つい「ごめんなさい」「申し訳ない」と口にしがち。でも「ありがとうございます」の方が、相手は嬉しく感じます。感謝を伝えることで、頼まれた側も「また助けたい」と思えるのです。

タイミングと具体性がカギ

「少し後でお願いできますか?」など、相手の状況を配慮したうえで具体的に頼むと、印象もスムーズさも変わります。誰かに何かをお願いするときは、“お願いの仕方”こそが、関係性を築く技術です。

「お願いする」ことへのハードルを下げる工夫

名刺やメモに「こういう支援をお願いしたい」とまとめておくと、初対面でも頼みやすくなります。言葉にするのが難しいとき、こうした「見える化」ツールは心強い味方になります。

障害者のコミュニケーションで大切なこと

障害があるからこそ、「どう伝えるか」には特別な工夫が必要です。誤解を防ぎ、スムーズな関係を築くための伝え方のポイントを、実体験をもとにお届けします。

「伝わらない」のではなく「伝え方」が違うだけ

うまく伝わらなかったとき、落ち込むのは当然。でも、それはあなたのせいではありません。表現の順序や言葉を少し変えるだけで、伝わり方がガラッと変わることもあるのです。

「わかってもらえない」不安との向き合い方

「どうせわかってもらえない」と心を閉ざしたくなる時もあるかもしれません。でも、伝え続けることで、少しずつ伝わっていくこともあります。小さな一歩が大きな信頼に変わることを、私は信じています。

共通のゴールを見つける会話を意識する

ただ一方的に伝えるだけでなく、「どうしたらうまくいくか」を一緒に考える姿勢が、よりよいコミュニケーションを生みます。支援者も当事者も、「同じチーム」の一員です。

頼ることで見えてくる「つながり」

頼ることは、恥でも負けでもありません。誰かとつながり、支え合うなかで生まれるもの――それこそが“人との関係”であり、“社会の中で生きる”ということなのです。

「支援」は一方通行じゃない

助けてもらうことで、「自分にもできることがある」と気づく場面が増えました。支援を受けること自体が、関係をつくる“入口”になる。そこから生まれる対等なつながりが、人生を豊かにしてくれます。

「役割」が心を軽くする

私は支援される立場でもありますが、支援する側にもなれます。講演、文章、ちょっとした声かけ――人は「役割」があることで、社会とつながる安心感を得られるのだと実感しています。

「ありがとう」は、つながりの証

ありがとうを伝えると、関係は深まります。感謝は、「自分がここにいていい」という証明になることもあるのです。あなたの「ありがとう」は、誰かの励みになります。

あなたの声が、誰かの勇気になる

最後に伝えたいのは、「あなたの気持ちは、ひとりじゃない」ということ。言葉にしたことは、誰かの心に届きます。だからこそ、少しずつでも、自分の気持ちを伝えていきましょう。

語ることは、自分を大切にすること

本音を話すことは、自分の気持ちを認めることでもあります。弱さも悩みも、そのままでいい。語ることは「ありのままの自分を受け入れる」第一歩です。

つながりが、気持ちを変えてくれる

共感してくれる人がひとりでもいれば、心は驚くほど軽くなります。伝えることで、新しい関係が生まれ、自分を肯定する力になります。

あなたの経験は、誰かの光になる

いま感じていること、過去に抱えた苦しみ――それを言葉にすることで、誰かの未来を照らす力になります。あなたの物語は、誰かの希望になれるのです。

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