障がい者との関わり方

“気をつかわせてしまう”が怖かった ― 距離のとり方に悩んだあの頃

「気をつかわせてしまうのが怖い」

そんな気持ちから、無意識に距離をとってしまうことはありませんか?

私もずっとその“クセ”に悩んできました。
今回は、少しずつその壁を乗り越えてきた経験についてお話しします。

目次

1. “気をつかわれたくない”と先回りしていた自分

「気をつかわせたくない」「迷惑をかけたくない」

そんな気持ちから、無意識に距離をとってしまうことが長く続いていた。

一緒に出かけるときも、相手が気をつかっているんじゃないかと考えてしまい、
心から楽しむことができないことがあった。

「自分のせいで予定が変わってしまったらどうしよう」

「気をつかわれているんじゃないか」

そんな不安が先に立ってしまい、自分から距離をとってしまうクセが抜けなかった。

2. “自然な関係”が生まれるとき

大学時代に名刺を渡して、自分の苦手なことやできないことを素直に伝えた経験や、
就労パスポートで自分の“できること”と“できないこと”を明確にして自然に伝えるようになってから、
少しずつ人間関係が変わり始めた。

就労パスポートとは、障害や特性に応じて自分のできることとできないことを明確にし、
職場での支援や配慮をスムーズに受けられるようにするためのツール。
これを通じて、相手も自分の状況を理解しやすくなり、関わりやすくなるというメリットがある。

「できないことはできない」とはっきり伝えることは、最初は少し勇気が必要だったけれど、
それが結果的に相手にとっても関わりやすく、お互いに気をつかわず自然な関係が築けると気づいた瞬間だった。

また、脳性麻痺の特性として「やらなければいけないと思うほど筋肉が緊張してできなくなってしまう」ということもある。

そのため、まずやってみるけれど、今日はできたことが明日にはできないこともある。
これはサボっているわけではなく、そのときの体の状態や緊張具合によるものであることも、
できるだけ伝えるようにしている。

3. 気をつかうことが、必ずしも悪いわけじゃない

もちろん、気をつかうことそのものが悪いわけではない。

むしろ、お互いを大切に思うからこそ、気をつかうこともある。

実際、私自身も気をつかってしまう癖があり、まだまだ試行錯誤の途中にいると感じている。

ただ、その気づかいが過剰になりすぎると、かえって関係がぎこちなくなってしまう。

だからこそ、「気をつかわせてしまうかもしれない」という不安から自分を閉ざすのではなく、
相手に信頼を置き、自然な距離感で関わることが大切だと感じるようになった。

4. 最後に ― 気をつかうことを恐れずに

気をつかわせることを恐れない。

それは、相手を信頼し、お互いに自然でいられる関係を築くための第一歩だと思う。

無理に距離をとらず、時には甘えたり、頼ったりすることも大切。

それが、より深いつながりをつくるための一歩になるはずだから。

これからも、そんな“心地よい距離感”を大切にしていきたい。

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