障がい者との関わり方

“支援する側”だけじゃない ― 当事者として、支援者として

“支援する側”だけじゃない ― 当事者として、支援者として

リード文:

社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持ち、児童発達支援管理責任者として働いている私。

支援者として日々の仕事に取り組む中で、「でも私は“当事者”でもある」という感覚が、常に心のどこかにありました。

専門職としての役割と、障害当事者としてのリアル。

その狭間で揺れながらも、見えてきたことがあります。

目次

  1. 支援する“私”は、障害当事者でもある
  2. スペシャルピアサポーターという立場
  3. 「支援者」として、「当事者」としての葛藤
  4. 社会福祉士・精神保健福祉士という専門性を取った理由
  5. 支援の現場で、当事者性が活きるとき
  6. 最後に ― 支援と当事者性、その両方を大切に

1. 支援する“私”は、障害当事者でもある

私は現在、放課後等デイサービスの管理者として、子どもたちの支援に携わっています。

一見すると“支援する側”の立場ですが、実は私は生まれつきの身体障害があります。

電動車椅子で生活し、日常の移動や動作にも工夫が必要な私が“支援者”として働くことは、時に自分でも不思議に思えることがあります。

けれど、この両方の立場があるからこそ、見えるものがあると今では感じています。

2. スペシャルピアサポーターという立場

ピアサポーターには大きく分けて、「当事者」として同じ経験を共有できる人と、専門職として支援に関わる人の2つの視点があります。

そして「スペシャルピアサポーター」は、その両方の側面を併せ持つ存在とされています。

私は、障害当事者としての体験がありながら、社会福祉士・精神保健福祉士・相談支援専門員などの資格を取得し、専門職としても活動しています。

まさに「スペシャルピアサポーター」として、両方の視点を行き来する立場にいるのです。

3. 「支援者」として、「当事者」としての葛藤

実際の現場では、専門職としての判断や対応が求められます。

でも、ふとした瞬間に「自分自身は、これまでどう感じてきたか」と当事者としての視点がよぎります。

たとえば、“できない”と言い出せなかった過去の自分。

周囲に「迷惑をかけたくない」と頑張りすぎていた頃の自分。

利用者さんの悩みや戸惑いにふれたとき、そんな過去と重なって胸が詰まることがあります。

4. 社会福祉士・精神保健福祉士という専門性を取った理由

大学卒業時、私は就職活動で何度も壁にぶつかりました。

面接で「もう少し障害が軽ければ採用したいんだけどね」と言われたこともあります。

身体障害があるというだけで、スキル以前に“対象外”になる現実があったのです。

だからこそ、私は「それでも欲しいと思ってもらえるような力を身につけたい」と強く思い、国家資格の取得を目指しました。

専門職としての知識と技術は、そうした社会のハードルに立ち向かうための武器でもありました。

5. 支援の現場で、当事者性が活きるとき

利用者の方や保護者の方が、言葉にしにくい思いを抱えているとき、

「私も同じように悩んだことがあります」とそっと伝えるだけで、表情がふっと和らぐことがあります。

それは“同じ立場”だからこそ分かること、伝えられることなのだと思います。

当事者性は、決して“弱さ”ではなく、“寄り添う力”になるのだと実感しています。

6. 最後に ― 支援と当事者性、その両方を大切に

支援する側であっても、当事者であることは変わりません。

そして、当事者であっても、誰かを支える力を持つことはできる。

その両方の視点を大切にしながら、これからも私は、私にできる支援の形を模索し続けていきたいと思います。

なんで歩けないの?と聞かれて ― 子どもにどう伝えるか、悩んだあの日前のページ

「“なんで歩けないの?”と聞かれて ― 子どもの素直な疑問にどう向き合うか次のページ

関連記事

  1. 障害と向き合う

    障害受容って、そんなにサクッとはいかないよね 〜“違い”と生きる物語〜

    こんにちは。この記事では、「障害受容」について、筆者自身の体験をもと…

  2. 共生・バリアフリー

    “わがまま”じゃないんだ ― 自分のニーズを伝える勇気

    リード文:「わがままって思われるかな…」そんな不安が、いつもど…

  3. 障がい者との関わり方

    障害者が無理して笑うときの気持ち

    「明るくいること」が自分を守る手段だった「笑っていた方が空気を壊さな…

  4. 共生・バリアフリー

    なんで歩けないの?と聞かれて ― 子どもにどう伝えるか、悩んだあの日

    「なんで歩けないの?」と聞かれて ― 子どもにどう伝えるか、悩んだあの…

  5. 障がい者との関わり方

    “どう接すればいいかわからない”あなたへ。障がい者との会話のコツ5つ

    こんにちは!このブログを読みに来てくれてありがとう。今回は、「障がい…

  6. 障害と向き合う

    記憶に残る景色は、自分で動いた先にあった

    小さい頃から家族に連れられてキャンプや旅行に行くことがありました。…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


  1. 心の整理

    人と比べてしまうのは、自然なこと
  2. 共生・バリアフリー

    “わかってもらえない”が怖かった ― 誤解と偏見の中で育った私が見つけた伝える勇…
  3. 生き方・自己理解

    “頼りすぎるかも”と不安なときに知っておきたいこと
  4. 共生・バリアフリー

    障害当事者が望む配慮と対等な関係
  5. 共生・バリアフリー

    “挑戦”のその先へ ― 夢の描き方を見つけるまで
PAGE TOP