生き方・自己理解

“就職=正解”じゃなくていい ― キャリアに悩む障害当事者へ

就職だけが「ゴール」ではありません

就労支援の現場では、「就職=ゴール」という空気が強くあります。でも実際には、就職がすべてではありません。働くことだけが社会とつながる手段ではなく、「生きているだけで誰かの希望になる」こともあるのです。

“働けていない”自分を責めないで

「まだ働けていない自分は、周りと比べてダメだ」――そんな風に思ったことはありませんか?私も何度もありました。でも、働く=人としての価値ではありません。まずは「自分が生きている」だけで十分という気持ちを持つことが、回復の第一歩になります。

“社会貢献”の形はひとつじゃない

近所の子どもに笑顔であいさつする、SNSで自分の経験をシェアする、支援を受けながら一人暮らしを頑張る――どれも立派な社会貢献です。私たちは、働いていなくても「社会の一員」として影響を与え続けています。

就職以外の「役割」を見つける

キャリア=働くことと思われがちですが、本来の意味は「人生そのもの」。家庭での役割、地域での存在感、福祉サービスの利用者としての気づきの共有なども、大切なキャリアです。ひとりひとりに合った“役割”があっていいのです。

「働く=正解」だけじゃない社会へ

「いつ就職するの?」「どんな仕事をしてるの?」――そんな問いに息苦しさを感じる人は少なくありません。働き方が多様になっている今だからこそ、“働いていないこと”が否定されない社会を一緒に目指していきましょう。

働かない選択肢も“あり”にしたい

体調や特性の関係で、働くことが難しい時期は誰にでもあります。でも、その期間にも意味があります。休むこともキャリアの一部。誰もが「一時停止」することを責められない社会こそ、本当にやさしい社会です。

自分のリズムで生きる大切さ

就労に向けて焦る気持ちがあっても、人にはそれぞれのペースがあります。周りがどんどん進んでいくように見えても、自分のリズムで進めばいい。ゆっくりでも確実に、自分らしい歩みをしていければそれで十分です。

“見えない仕事”も尊い

家族のケア、地域の見守り、自助会の運営など、報酬のない「見えない仕事」もたくさんあります。こうした活動が社会を支えている事実を、もっと大切にしていきたい。誰もがどこかで“誰かの役に立っている”のです。

キャリアコンサルタントとして伝えたいこと

私は国家資格キャリアコンサルタントとして、さまざまな方のキャリア支援に関わってきました。その中で、特に障害のある方に伝えたいことがあります。それは「あなたの人生は、あなたが主人公」ということです。

他人の尺度で判断しない

周囲の「こうあるべき」に流されてしまうと、自分の声が聞こえにくくなります。自分にとって何が大切か、どんな生活が心地よいか。それを自分の中から見つけることが、納得できるキャリアの第一歩です。

「働くこと」より「どう生きるか」

支援の現場では、「就労」が目標にされがちですが、本当に大事なのは「どう生きていきたいか」。働くことは手段のひとつでしかありません。あなたの人生に合ったキャリアを、一緒に考えていきましょう。

誰でも「キャリア」はある

無職であっても、支援を受けていても、すでにあなたは「キャリアの途中」です。日々の経験そのものがキャリアであり、それを大切にすることが自信につながります。「キャリアはあるもの」として見ていくことが重要です。

「生きているだけで価値がある」は本当

誰かの役に立っていなくても、何かができなくても、あなたが存在していること自体が、まちがいなく社会への貢献です。そのことを、今の社会がもっと認められるようになることを願っています。

相模原事件が投げかけた問い

「障害者はいらない」と語った加害者の言葉は、決して他人事ではありません。あの事件は、社会の一部に根強くある「生産性がない=価値がない」という危険な思想が、現実の暴力に変わった瞬間でした。私たちは今も、その問いに向き合い続けています。

存在価値は、誰かが決めるものじゃない

「役に立つかどうか」で人の命の重さが決まる社会は、とても息苦しいものです。障害があってもなくても、ひとりひとりの命に意味がある。その基本を忘れない社会であるために、私たちは声を上げ、語り続ける必要があります。

“生きてるだけで、いい”と伝えたい

自分を責めている人がいたら、どうか思い出してほしいです。「できていない」ことより、「生きていること」にこそ価値がある。あなたの存在が、誰かの励みになり、希望になる。そう信じていいと、私は心から思います。

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