人と比べてしまうとき、ただ落ち込むだけでなく「自分ももっと頑張らなきゃ」「置いていかれたくない」と焦りに駆られることはありませんか。焦りは一見エネルギーに変わりそうでいて、実際には心を消耗させてしまうものです。
私自身も、とても比べやすい性格で、他人の姿を見て焦ってしまうことがよくあります。SNSで同世代の人がキャリアアップしたり、資格を取ったりしているのを見ると、「自分も早く行動しなければ」と気持ちがざわつきます。障害があると、どうしても行動に時間がかかったり、思うようにできないことがあるため、「焦っても追いつけない現実」に直面しやすくなります。そのときの苦しさは、言葉では言い表せないものがあります。
焦りが生まれる理由
心理学的に見ると、焦りは「承認欲求」と深く関係しています。誰かに認められたい、自分の価値を確認したいという気持ちが強いほど、他人の成果に敏感に反応してしまいます。また、社会的比較理論の観点では、上方比較(自分より優れている人と比べること)が続くと、「自分はまだまだだ」と感じて焦燥感につながりやすいとされています。
特に現代社会は「スピード」が評価されやすい傾向があります。若いうちに成果を出すことが称賛され、「遅れてはいけない」という暗黙のプレッシャーが強いのです。そうした背景の中で、私たちは無意識のうちに他人と自分を比べ、焦りを感じやすくなっています。
私自身の体験
私はこれまでに、何度も「焦って動いては失敗する」という経験をしてきました。例えば仕事で、他の人が短期間で結果を出しているのを見ると、「自分も早く形にしなければ」と無理をしてしまい、結局は体調を崩したことがあります。また、障害による体の動きの制約から、同じペースで動けない自分を責めてしまうことも多々ありました。
そうした経験から学んだのは、「焦りから生まれる行動は、長続きしない」ということです。焦りは瞬間的なエネルギーにはなるけれど、自分のペースや生活全体を崩してしまう危険性があるのです。
焦りに振り回されない工夫
では、焦りを感じたときにどのように向き合えばいいのでしょうか。私が実践しているいくつかの工夫を紹介します。
- 焦りを「気づき」として受け止める
焦りを否定するのではなく、「今、私は焦っているんだ」と気づくだけで心が落ち着くことがあります。 - 自分の歩みを記録する
他人と比べるのではなく、「昨日より今日」「先月より今」と、自分自身の小さな進歩を見える化します。 - 行動を小さく区切る
焦って大きな目標に一気に挑もうとすると失敗しやすいので、「今日はここまで」と小さな行動に分けると、焦りが減ります。 - 休む勇気を持つ
焦りを感じているときほど休むのは難しいですが、休むことで視野が広がり、落ち着いて次の一歩を考えられるようになります。
比較して焦るのは自然なこと
大切なのは、「焦ってしまうのは弱さではない」ということです。焦りは「前に進みたい」という思いの裏返しでもあります。だからこそ、「焦ってしまう自分を否定しない」ことが心を守るポイントだと思います。
私もまだ焦ることが多くあります。でも、「焦りは悪いものじゃない。気づきに変えればいい」と少しずつ受け止められるようになりました。あなたももし誰かと比べて焦ってしまったら、「私は前に進みたいと思っている証拠なんだ」と言葉をかけてみてください。その一言が、焦りを優しさに変えるきっかけになるかもしれません。
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