“できない”を隠して働こうとしたとき
前回の記事では、「できない自分を隠したくなる気持ち」についてお話しました。
実はこの気持ち、日常生活だけでなく、職場の中でも強く表れます。
「仕事だから、弱みを見せてはいけない」
「助けを求めたら“能力が低い”と思われるのでは」
そんな不安から、私自身も無理をして「できるふり」をしたことがありました。
けれどその結果、心も体も疲れ果て、結局は周りに迷惑をかけてしまったのです。
働く場で“できない”を隠すことは、一時的には自分を守っているように見えて、実際には自分も周囲も苦しめることにつながるのだと痛感しました。
働き方に潜む「がんばりすぎ」の落とし穴
私たちは「迷惑をかけたくない」「頼らずにやりきりたい」という思いから、つい頑張りすぎてしまいます。
その背景には、承認欲求や責任感があり、とても自然な気持ちでもあります。
しかし、がんばりすぎには落とし穴があります。
- 無理を重ねて体調を崩す
- 仕事の質が落ちる
- 周囲とのコミュニケーションが減り孤立する
- 「なぜできないのか」と自己否定につながる
つまり「がんばりすぎ」は、自分を追い込むだけでなく、職場全体のバランスも崩してしまうのです。
私もかつて、書類仕事を抱え込み、締め切り直前にパンクした経験があります。
本当は「この部分はサポートしてほしい」と伝えられたはずなのに、できないことを隠してしまったために、結果的に仕事の流れを止めてしまいました。
できることを活かす働き方
「できない」を隠そうとするよりも、「できること」を伝えること。
これは働き方を考えるうえで、とても大事な視点です。
例えば――
- 「この作業は苦手ですが、こちらの作業なら得意です」
- 「数字の計算は時間がかかるけれど、まとめて説明するのは得意です」
こうした伝え方をすると、周囲も協力しやすくなり、仕事全体の流れもスムーズになります。
福祉の現場でも同じです。支援を受けながら働くことは「弱さ」ではなく「関係を築く力」です。
できることを前に出し、できない部分は支援を得る。
その積み重ねが「自分らしい働き方」につながっていくのです。
自分らしく働くための工夫
では、実際に「できない」を無理なく伝え、自分らしく働くためにはどんな工夫があるでしょうか。
① 無理なことを抱え込まない
「できます」と言いたくなる気持ちは自然ですが、無理を続けると必ず限界がきます。
できないことは、なるべく早く共有した方が結果的に信頼につながります。
② 得意を言葉にして伝える
自分がどんな場面で力を発揮できるのか、具体的に言葉にしておくこと。
これは履歴書や面接だけでなく、日々の職場でも役立ちます。
③ 小さく助けを求める練習をする
いきなり大きなことをお願いするのは勇気がいります。
まずは「コピーを手伝ってほしい」「ちょっと確認してもらえますか」など、小さな場面から始めてみましょう。
まとめ ― “できない”を起点に考える働き方
「できない自分を隠したくなる」気持ちは誰にでもあります。
でも、働くうえで大切なのは“隠すこと”ではなく、“できることを活かすこと”。
“できない”はマイナスではなく、自分に合った働き方を考えるきっかけになります。
無理に完璧を演じなくても大丈夫。
できないことがあるからこそ、人と支え合いながら仕事を進めることができます。
働き方とは、「弱みをなくすこと」ではなく、「強みと弱みをどう活かし合うか」を考えることなのだと思います。
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