私たちは、つい「人からどう見られるか」「評価されるか」に意識を向けてしまいます。特に障害があると、日常のなかで人の助けを受ける場面が多いため、「嫌われたら支援を受けられなくなるかもしれない」という不安がつきまといます。その不安から、相手の期待や反応に合わせようとしすぎて、自分の本当の気持ちが見えなくなってしまうことも少なくありません。
私自身もその一人です。相手の言葉に敏感に反応しすぎてしまい、「本当はどうしたいのか」がわからなくなった経験が何度もあります。気づけば、人の評価ばかりを軸にして、自分の声を置き去りにしていたのです。
◆「小さな声」をすくい上げる習慣
そんな私が実践していることのひとつに、手帳に「今日やったこと」「気づいたこと」「良かったこと」を毎日書くことがあります。
例えば、
- 「今日は天気がよくて気持ちよかった」
- 「人にありがとうと言われて嬉しかった」
- 「ちょっと疲れたから、次は休憩を多めにしよう」
ほんの些細なことでも、書いて残すことで「ああ、自分はこう感じていたんだ」と気づくことができます。
書くという行為は、自分の声を外に出すこと。誰かに評価されるためではなく、自分の心の輪郭を確かめるための大切な作業です。
◆「比べる自分」から「感じる自分」へ
私たちはどうしても、人と比べたり、承認を求めたりしてしまいます。それ自体は悪いことではありません。ただ、その比べる気持ちに飲み込まれてしまうと、いつの間にか「他人の軸」で生きてしまい、自分の本音を見失います。
手帳に小さなことを書き残すことは、そうした「比べる自分」から離れて「感じる自分」に戻るための時間です。人からどう思われるかではなく、「自分がどう感じたか」を確かめる。それが積み重なると、自分の声を少しずつ信じられるようになっていきます。
◆あなたの「声のメモ」を
自分の声を大切にすることは、特別なことをしなくても始められます。ノートでもスマホのメモでも構いません。「今日の気づき」や「ちょっと嬉しかったこと」を一言だけ書いてみてください。
それは、他の誰かに見せるためではなく、自分が自分を知るための記録です。どんなに小さくても、その積み重ねが「私はこう感じていいんだ」という安心につながり、やがて「自分らしく生きる力」になっていくのだと思います。
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