頼る自分”を否定せずに働くには
「頼ること」に抵抗を感じるのはなぜ?
私たちは職場で「人に頼る」ことに抵抗を感じることがよくあります。
「迷惑をかけてしまうのではないか」
「自分の能力が低いと思われるのでは」
そんな不安が頭をよぎり、つい「自分ひとりで抱え込もう」としてしまうのです。
この背景には、社会や文化の影響もあります。日本では「人に迷惑をかけないこと」が美徳とされがちですし、学校や家庭でも「自分でやりなさい」と育てられることが少なくありません。だからこそ、大人になっても「頼る=弱い」と思い込んでしまうのです。
しかし実際には、「頼る」ことは弱さではなく、働くうえで欠かせない力のひとつです。
頼れないことで生まれる働きづらさ
「頼ることが苦手」なまま働き続けると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 業務を抱え込みすぎてパンクする
→ 結果的に締め切りに遅れたり、質が下がってしまう。 - 体調を崩す
→ 睡眠不足やストレス過多になり、心身の不調につながる。 - 周囲とのコミュニケーションが減る
→ 助けを求めないために孤立感が強まり、ますます頼れなくなる。 - 「できない自分」を否定する思考に陥る
→ 自己否定が強まり、働く意欲そのものを失いやすくなる。
つまり、「頼らないこと」が必ずしも責任感の表れではなく、むしろ職場全体にとってリスクになる場合があるのです。
私自身の経験から
私も以前、書類仕事や会議準備をすべて自分でやろうと抱え込み、結果的に疲れ果ててしまったことがありました。
「他の人に頼んだら迷惑だろう」
「管理者なのにできないなんて思われたくない」
そんな気持ちが先に立ってしまったのです。
けれどある日、限界を感じて「この部分だけ手伝ってほしい」と思い切ってお願いしたところ、同僚が快く引き受けてくれました。
しかもその人の得意分野だったため、私がやるよりも早く、丁寧に仕上げてくれたのです。
そのとき初めて、「頼ることは迷惑ではなく、むしろ仕事を円滑に進める力になる」と実感しました。
自分だけで抱え込むよりも、チームで動く方が良い結果につながる――これは私にとって大きな気づきでした。
職場で安心して頼るための工夫
では、どうすれば「頼ること」を実践できるでしょうか。ここでは、私が実際に取り入れて効果を感じた工夫を紹介します。
① 感謝を言葉にする
「助けてくれてありがとう」
「あなたがいてくれて助かる」
そんな一言を添えることで、相手も「頼られてよかった」と思いやすくなります。頼ることは関係を築くチャンスでもあります。
② 小さなことからお願いしてみる
いきなり大きな業務をお願いするのはハードルが高いです。
まずは「この資料だけ確認してもらえる?」といった小さな頼みごとから始めると、自分も相手も慣れていきます。
③ 「できない」ではなく「こうしてほしい」と伝える
「これはできません」と言うだけだと、相手もどうすればいいかわかりません。
「この部分は苦手なので、ここをサポートしてもらえると助かります」と具体的に伝えると、協力してもらいやすくなります。
④ 頼ることを“交換”として考える
「この作業はお願いするけど、別の場面では私がフォローするね」
こうした持ちつ持たれつの関係を意識すると、お互いに安心して頼れるようになります。
まとめ ― 頼ることは“弱さ”ではなく“力”
「頼ること」に抵抗を感じるのは自然なことです。
けれど、頼らないまま頑張りすぎると、結局は自分も周囲も苦しくなってしまいます。
頼ることは“弱さ”ではなく、“信頼を築く力”です。
一人で抱え込むのではなく、互いの得意や苦手を補い合うことが、働きやすさと成果の両方につながります。
無理に「できる自分」を演じなくても大丈夫。
頼ることを通して、私たちはチームとして強くなり、そして自分らしく働くことができるのだと思います。
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