共生・バリアフリー

“わかってもらえない”が怖かった ― 誤解と偏見の中で育った私が見つけた伝える勇気

「わかってほしいけど、わかってもらえない」
そんなもどかしさを、私はずっと抱えてきました。
「どうしてそんなふうに思われるんだろう」
子どもの頃から繰り返される誤解と偏見の中で、私は「言葉にできない寂しさ」と共に育ちました。
でも今、振り返って思うのです。あの孤独の中で育った時間が、今の自分の支援の原点だったと。

  1. 「かわいそう」と言われて育った日々
  2. 誤解されたくなくて、無理に明るくふるまった
  3. 「強くなりたい」の裏にあったもの
  4. わかってもらえない不安が、人との距離を遠ざけた
  5. 「説明すること」が支援につながると気づいた
  6. 誰かの「わかりたい」に応える言葉を、持ち続けたい

1. 「かわいそう」と言われて育った日々

私が障害のある身体で生まれて、最初に感じた“違和感”は、周囲の人が私を“かわいそうな存在”として見る視線でした。
「大変だね」「かわいそうに」
本人の前であっても、まるでガラス越しに見ているようなその言葉たちは、無意識のうちに私を「分けられた世界」に閉じ込めていきました。

2. 誤解されたくなくて、無理に明るくふるまった

「障害があるからって、暗いと思われたくない」
そんな気持ちから、私は無理に明るくふるまうようになりました。
いつも笑顔で、元気で。
でも、それは本当の自分ではなく、“誤解されたくない”という防衛本能だったのかもしれません。

3. 「強くなりたい」の裏にあったもの

「私は大丈夫」
そう言い続けることが、強さだと思っていた時期もありました。
でもそれは、「本当は助けてほしい」「わかってほしい」という気持ちを押し殺すことでしか、成り立たないものでした。

4. わかってもらえない不安が、人との距離を遠ざけた

「どうせわかってもらえない」と思う気持ちは、少しずつ人との距離を遠ざけていきました。
「察してほしい」と思う反面、「察してもらえなかった時の寂しさ」に耐えられなかったのです。
だからこそ、私は心を閉じることで自分を守っていました。

5. 「説明すること」が支援につながると気づいた

大学に入り、一人暮らしを始めたことで、私は「伝える」ということの大切さを学びました。
「できないこと」を言葉にして伝えること。
「どう関わってもらえると助かるか」を共有すること。
それは、相手を信じることでもあり、自分自身を肯定することでもありました。

6. 誰かの「わかりたい」に応える言葉を、持ち続けたい

わかってもらえないことが、当たり前だった日々。
でも今は、わかろうとしてくれる人に出会えるようになりました。
その人たちの「わかりたい」という気持ちに、私は丁寧に応えていきたいと思っています。
あの時の自分が欲しかった「ひとこと」を、今の誰かに届けるために。

「迷惑をかけたくない」が口ぐせに ― 障害当事者が語る支援を拒んだ理由とその先にある変化前のページ

“無理して笑う”のをやめたら、少し楽になった次のページ

関連記事

  1. 共生・バリアフリー

    “頼ること”は“甘え”じゃない。自立と支援のほんとうの関係

    「自立したいけど、支援も必要。頼るのは甘えなの?」──そんな葛藤に揺れ…

  2. 共生・バリアフリー

    “かわいそう”のその先へ ― 見られる側から、生きる側へ

    “かわいそう”のその先へ ― 見られる側から、生きる側へ|障害当…

  3. 障がい者との関わり方

    誰かの“優しさ”が、苦しかったとき ― 無意識の差別とどう向き合うか

    <p>脳性麻痺の当事者として生きてきた私が、人生の中で何…

  4. 障がい者との関わり方

    “気をつかわせてしまう”が怖かった【続編】 ― 心地よい距離感を見つけるまで

    「気をつかわせてしまうのが怖い」そんな気持ちから、無意識に距離をと…

  5. 共生・バリアフリー

    伝えることが、社会を動かす小さな声が起こした大きな変化

    リード文:「そんな小さなこと、言っても仕方ない」昔の私は、そう…

  6. 共生・バリアフリー

    “支援する側”だけじゃない ― 当事者として、支援者として

    障害当事者でありながら支援者になるということ障害のある当事者が、福祉…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


  1. 障がい者との関わり方

    脳性まひってどんな障害?~当事者のリアルを通して知ってほしいこと~
  2. 障害と向き合う

    “支援する側”だからこそ悩んだこと ― ピアサポーターの葛藤
  3. 働き方

    “自分らしく働く”ってどういうこと?
  4. 共生・バリアフリー

    “支える側”も揺れている ― 支援者の孤独と葛藤
  5. 働き方

    “生きがい”を支える小さな習慣
PAGE TOP