「私なんてどうせ…」
気づくと、そんな言葉が心の中に染み込んでいる。
人と比べて、自分に足りないところばかりが目につくとき。
何かに挑戦する前から、「どうせ無理」と諦めてしまいたくなるとき。
障害があると、できないことが目立ちやすくなります。
私も子どもの頃から、思うように体が動かせなかったり、他の子と同じようにできなかったりするたびに、「また迷惑をかけた」「どうせ自分にはできない」と感じてきました。
そして、周りの何気ない言葉や態度が、そんな思いをさらに深めてしまうこともありました。
今回は、誰もが一度は抱えたことがある「どうせ私なんて…」という思いに向き合いながら、自分を否定しすぎないための考え方や工夫を一緒に探していきます。
なぜ「私なんて…」と思ってしまうのか
「どうせ私なんて」
この言葉は、自信がないときだけでなく、「もう傷つきたくない」という自己防衛の気持ちからも生まれます。
あらかじめ自分を下げておくことで、周囲からの評価や否定によるショックを和らげようとする──これは心理学では防衛機制(予期的回避)と呼ばれる反応のひとつです。
また、幼少期から「できないこと」にばかり注目される環境にいると、自己肯定感の土台が育ちにくく、「どうせ」が口癖のようになってしまうこともあります。
特に、障害があることで「できていないこと」ばかり指摘される経験が多いと、それが自分の“当たり前”になってしまいやすいのです。
「どうせ」と思う気持ちの奥にあるもの
私自身、「どうせできない」「どうせわかってもらえない」と思ってきた背景には、本当は「わかってほしい」「認めてほしい」という強い気持ちがありました。
本当はチャレンジしたい。できるようになりたい。でも、うまくいかなかったときにがっかりするのが怖い。
だから「どうせ無理」と言って、自分を守る“盾”にしていたのかもしれません。
つまり「どうせ」は、あきらめの言葉ではなく、悲しみや恐れの裏返しなのだと思います。
「どうせ私なんて」から一歩抜け出すヒント
完全に「どうせ」と思わなくなることは、簡単ではありません。
でも、少しだけ視点を変えてみることはできます。
① 自分に優しい言葉をかけ直す
「どうせダメ」と思ったとき、少しだけ言い換えてみましょう。
たとえば、「まだ慣れてないだけかも」「これが得意な人もいれば、苦手な人もいる」といった言葉です。
最初はしっくりこないかもしれません。でも、繰り返すうちに少しずつ自分に寛容になれる感覚が育ってきます。
② 小さな「できた」を積み重ねる
大きな成功や成果を求めず、「昨日よりちょっと進めた」ことに目を向けるようにしています。
私は以前、予定通りに起きられたこと、作業を途中でやめられたことに対して、「今日はうまく自分と折り合えた」と自分をほめるようにしてみました。
「できる」ことのハードルを下げることで、「できない自分」への責めが少し減っていきました。
③ 気持ちを書き出して、見える化する
「どうせ」と感じたとき、その気持ちを紙やスマホにメモしています。
音声入力を使って言葉にしてみたり、それをAIに要約してもらったりすることもあります。
頭の中でぐるぐるしているだけだと、気持ちはふくらむ一方。でも、見える形にすることで、「あ、今こう思ってるんだ」と少し客観視できるようになります。
あなたの“ほんとうの声”を、大切に
「どうせ私なんて」と思ってしまうとき。
それは、あなたの中にある大切な気持ちや願いが見えなくなっているサインかもしれません。
それを完全に消そうとするのではなく、「そう思ってしまうのも無理ないよね」と認めながら、その奥にある本当の声に耳をすませてみませんか。
もしかしたら、「私だって頑張ってる」「誰かに認めてほしい」「安心したい」という声が、そこにあるかもしれません。
まとめ:誰だって、自分を信じられなくなる夜がある
自分を肯定するのは、難しいことです。
「私なんて…」と感じてしまう夜もあるでしょう。
でも、そんな自分を責めずに、まずは「そう感じてしまう背景」に目を向けることから始めてみてください。
あなたは、「どうせ」で終わるような人じゃない。
今はそう思えなくても、信じたいという気持ちが、きっとあなたを少しずつ前に進ませてくれます。
ゆっくりで大丈夫。あなたのペースで、自分を大切にしていきましょう。
この記事へのコメントはありません。