こころのケア

“距離を取る”は逃げじゃない。関係に疲れたときの選択肢

「もう少し、距離を置いたほうがいいのかもしれない」

そう思いながらも、「自分が悪いのかな」「冷たい人だと思われたらどうしよう」とためらってしまうことはありませんか?

でも、関係に疲れたとき、“距離を取る”という選択肢は、逃げでもワガママでもなく、自分を守るための大切な手段です。

今回は「関係性に疲れたときに、自分を守る方法」について、一緒に考えてみたいと思います。

実は私自身、今まさに職場の人間関係で悩んでいて、会社に行くのがしんどいと感じています。だからこの記事は、“自分への言葉”でもあります

相手との距離に悩むのは、「人間関係を大切にしたい」から

そもそも「距離を置きたい」と感じるとき、人はどんな心理状態にあるのでしょうか。

それはきっと、関係を乱したくない、相手を傷つけたくない、波風を立てたくないという、“関係を大切に思っているからこそ迷う”気持ちがあるのではないでしょうか。

「嫌いになったわけじゃない」「できればうまくやりたい」

でも、心がすり減っている。

そんな葛藤があるとき、“適度な距離をとる”ことは、関係を壊さないための手段にもなり得ます。

無理に我慢を続けて、心の余裕がなくなった結果、関係そのものが壊れてしまう方が、よほどつらい結末になることもあるからです。

“合わない人”がいてもいい。人には相性がある

どれだけ優しい人でも、どれだけ努力しても、合わない人はいます。

相性の問題は、あなたの性格や能力、気配りの問題ではありません。

“価値観”や“考え方”、“会話のテンポ”、“お互いの感情の持ち方”など、見えない部分が噛み合わないとき、関係性にはストレスがたまりやすくなります。

そしてそのストレスが、自分らしさを奪い、心の疲弊につながってしまう。

そんなときに大切なのは、「合わないことを、無理に正そうとしない」ことです。

違和感を見て見ぬふりするのではなく、「この人と自分の間には“ちょうどいい距離”があるかもしれない」と考えること。

それは決して、人を突き放すことではなく、自分と相手の両方を大切にする選択なのです。

「自分の心地よさ」を守るために必要な“心理的距離”

心理学では、人との関係において適切な距離感のことを「パーソナルスペース」や「心理的距離」と呼びます。

この距離が近すぎると、息苦しさや緊張を感じたり、逆に遠すぎると孤独を感じたりします。

でも、「いまの自分には、もう少し余白が必要」と感じたなら、

その感覚を否定せず、尊重してあげることが、自分を守る第一歩になるのです。

他人にどう思われるかより、まず「自分が心地よくいられる距離」を知ること。

それが、健康的な関係性の土台になっていきます。

「行きたくない自分」を責めないで

関係に疲れ、「もう顔を合わせたくない」「行きたくない」と思うことは、決して弱さではありません。

それだけ、あなたが今まで頑張ってきた証拠です。

私自身も今、職場に向かう気持ちを何とか保とうとしながら、日々葛藤しています。

でも、「行きたくない」と感じている自分を否定してしまったら、心が壊れてしまいそうになる。

だからこそ今は、自分を守ることを優先してもいい。

逃げるんじゃなく、“守る”という視点で。

そう思えるだけで、少し呼吸がしやすくなる気がします。

まとめ:「距離を取る」は、自分と関係性を守るための選択肢

人との関係に悩むのは、それだけ相手や自分を大切に思っているからこそ。

でも、がんばりすぎて、自分をすり減らしてしまう前に、

「いまの私には、ちょっと距離が必要かもしれない」

そんなふうに、自分の感覚を信じてあげてください。

関係を壊さないために、距離を取るという選択。

それはきっと、あなたにとって、そして相手にとっても優しさなのだと思います。

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