生き方・自己理解

“頼る”は弱さじゃない。関係をつくる力だ

「頼ってもいい」「支援を受けてもいい」と少しずつ思えるようになってきた人へ。

このシリーズの最終回では、そもそも“頼る”とはどういう行為なのか、あらためて向き合ってみたいと思います。

かつて「迷惑をかけたくない」「情けない」と思っていた自分も、今は少し違った視点で“頼ること”を見られるようになりました。

それは、「頼ることは、弱さじゃなく、誰かと関係をつくる力」だという実感です。

頼ることは、つながること

頼るという行為は、誰かに対して「自分をさらけ出す」ことでもあります。

自分の弱さや困りごと、不安や戸惑いを相手に打ち明けるというのは、簡単なことではありません。

だからこそ、頼ることができたとき、その人との間に“つながり”が生まれるのだと思います。

支援を受ける側も、支援する側も、お互いに関係性の中で「何かを渡し、何かを受け取る」経験をしています。

頼ることは、相手を信じるという“関係のはじまり”でもあるのです。

支援とは、特別なことじゃない

福祉の現場や支援制度の話になると、「支援=専門職からのサービス」と思われがちです。

でも、実際にはもっと身近なところにも“支え合い”は存在しています。

友だちにちょっと相談すること、家族に弱音を吐くこと、職場で「ちょっと手伝ってもらえますか」と言うこと。

そうした日常の中のやりとりも、立派な“支援関係”です。

支援とは、特別な立場の人にだけ許される行為ではなく、「人と人が関わる」中で自然に生まれる営みなのだと思います。

それでも迷うときは、自分に問いかけてみよう

「頼ることは大事」とわかっていても、いざその場になると、やっぱり迷うことがあります。

そんなとき私は、「今、頼っていいのか?」ではなく、「今、自分を大切にできているか?」と問いかけるようにしています。

無理してひとりで抱え込んでいる自分に気づいたとき。

誰にも言えずに苦しさが募っているとき。

そういうときこそ、「誰かと関わること」でしか守れない“自分のこころ”があると知っているからです。

まとめ:「頼る」は、つながる力。あなたはひとりじゃない

頼ることを通して、私は多くの人と出会ってきました。

うまくいかなかった関係も、あたたかなまなざしも、自分を肯定する力になってくれた言葉も。

それらすべてが、「人とつながって生きていく」ための支えとなりました。

頼ることは、弱さではありません。それは、人と人とが支え合いながら生きる力です。

もし今、誰かに頼ることをためらっている人がいたら、どうか思い出してください。

あなたには、つながる力があるということを。

このシリーズを通して、少しでもその力を信じてみようと思えたなら、私はとても嬉しいです。

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