夜になると、ふと一日の出来事を思い返す時間がやってきます。SNSを眺めたり、友人や同僚の言葉を思い出したりする中で、「あの人はすごいのに、自分は全然ダメだな」と落ち込んでしまうことはありませんか。昼間は元気に過ごしていても、静かな夜になると急に心の中にネガティブな声が大きく響いてくる──これは多くの人が経験する現象です。
私自身も例外ではありません。障害があることでどうしても他人からのサポートを受ける場面が多く、そして「ちゃんとしなきゃ」と思うほど体が動かなかったり、思うようにできなかったりすることがあります。さらに「もし嫌われたら、支援を受けられなくなるかもしれない」という不安も心の奥底にあり、そのため人と比べて落ち込む気持ちが強くなるのです。
夜に気持ちが沈みやすい理由
心理学の観点から見ると、夜は「認知の歪み」が起こりやすい時間帯だと言われます。日中は仕事や家事、学びなどで外向きの刺激が多く、意識が外に向かっています。しかし夜になると一人の時間が増え、注意が内側へ向きやすくなります。さらに疲労や眠気によって心のバランスを取る力が低下し、ネガティブな思考が増幅されやすいのです。
また、SNSは「他人の成功の切り抜き」が並ぶ場です。誰かが新しいことに挑戦している姿や、華やかな成果の報告を見れば、「自分と比べてしまう」気持ちが強まります。実際にはその人にも悩みや挫折があるのですが、画面の向こうには映らないため、どうしても「自分だけが取り残されている」という錯覚に陥ってしまうのです。
比較で落ち込んだときの対処法
私が実践しているのは、「比べないようにしよう」と無理に抑えることではなく、「今落ち込んでいるな」とその気持ちに気づくことです。心理学でいう「マインドフルネス」の考え方に近く、自分の感情を否定せずに受け止めることで、少しずつ気持ちが落ち着いていきます。
また、夜に特に効果的なのは「小さな振り返り」です。その日できなかったことではなく、「今日できたこと」を書き出すのです。例えば、
・人に笑顔で挨拶できた
・疲れていたけれど食器を片づけた
・苦手なことに少しだけ挑戦した
これらは一見ささいに思えるかもしれませんが、積み重ねていくと「自分にもできていることがある」という安心感を得られます。
「比べて落ち込む夜」を乗り越える工夫
比べてしまうこと自体をやめるのは難しいものです。人間にはもともと「社会的比較」をする習性があり、それによって自分の立ち位置を確認しようとするからです。ですから「比べてしまうのは仕方ない」と前提を受け入れたうえで、落ち込みすぎない工夫をすることが大切です。
私の場合、どうしても気持ちが沈む夜には、意識して「安心できる習慣」を取り入れるようにしています。好きな音楽を聴く、アロマを焚く、信頼できる人に短いメッセージを送る──そうした小さな習慣が、落ち込んだ心を少し和らげてくれます。
まとめ
人と比べて落ち込んでしまう夜は、誰にでも訪れます。特に障害や生きづらさを抱えていると、「支援を受けている自分」と「自分一人でできている他人」を比べてしまい、つらさが増すこともあるでしょう。けれども大切なのは、「比べるのは人間として自然なこと」と理解しつつ、その中で「自分ができていること」「自分を安心させる習慣」に目を向けることです。
比べて落ち込む夜は、自分を責める時間ではなく、「自分をいたわる時間」に変えることができます。今日一日のなかで、小さくても「よかったこと」「できたこと」を見つけてみませんか。それがやがて、「比較に振り回されない生き方」につながっていくはずです。
この記事へのコメントはありません。