当事者の声

ここまでの自分を、ちゃんと認めてあげよう

「まだ足りない」と思ってしまう私たち

どんなに頑張っても、「まだできていない」「もっとやらなきゃ」と思ってしまう――
そんな自分に、心当たりはありませんか。

私もそうでした。
仕事でも生活でも、どこかに“完璧でなければ”という気持ちがあり、
できたことよりも「できなかったこと」ばかりを数えていた時期がありました。

「これぐらい、みんなできている」
「自分はもっと頑張らないと」
そんな言葉を、自分の心に何度も投げかけていたのです。

でも、あるとき気づきました。
「まだ足りない」と思うことは、
成長したい気持ちの裏返しでもあるけれど、
それが“自分を否定する声”になってしまうと、心はどんどん疲れてしまう。

“前に進む力”は、
「足りない」ではなく、「よくやった」から生まれるのだと思います。


“できたこと”より、“積み重ねてきた時間”に目を向ける

私たちは、つい「何を達成したか」で自分の価値をはかってしまいます。
でも、本当に大切なのは、
“その過程をどう歩いてきたか” ではないでしょうか。

うまくいった日も、思うように動けなかった日も、
それぞれがちゃんと“生きてきた証”です。
どんな形であっても、その時間の積み重ねが今の自分をつくっている。

心理学では、これを「自己承認」と呼びます。
“今の自分”を否定せずに受け入れる力です。

「ここまでよく頑張ってきたね」
「今日はこれだけできたね」
そんな一言を、自分自身にかけてあげることが、
次への力に変わっていきます。


私自身の経験 ― “できなかった日”も、前に進んでいた

正直に言えば、私にも“何もできなかった日”はたくさんあります。
体調がすぐれず、仕事が思うように進まない。
「今日も何もできなかった」と、落ち込んだ夜もありました。

でも、そんな日もちゃんと意味があるんです。

たとえば、休むことも“生きるための行動”です。
誰かに相談できた日も、
ほんの少しだけ笑えた日も、
すべて“前に進む”ことの一部。

「できなかった」と思うその裏には、
“それでも生き抜いた”という事実があります。

あるとき、自分の過去を振り返りながら思いました。
あのときの私は、“何もしていない”ようでいて、
“あきらめない”という選択をしていたのだと。

それに気づいたとき、
「自分を認める」という言葉の意味が少し変わりました。


“自分を認める”ための3つの小さな習慣

① 一日の終わりに「よくやった」と言葉にする

寝る前や、仕事を終えたあと。
その日にできたことを思い返して、
「今日もよくやった」と声に出してみる。

たとえそれが、“ごはんを作った”“外に出た”といった小さなことでもいい。
言葉にすることで、脳は“達成感”を記憶として残します。
その積み重ねが、自信へと変わっていくのです。


② “できたことメモ”をつけてみる

ノートでもスマホでも構いません。
その日にできたことを、ひとつでも書き出す習慣をつくる。

「今日は人に笑顔で挨拶できた」
「掃除を少しだけ進めた」
「メールを送れた」

誰にも見せなくていい“自分だけの記録”だからこそ、
素直に自分を認める練習になります。
日を重ねるうちに、「思っていたより頑張っていた自分」に出会えるはずです。


③ “比べない時間”を意識して作る

SNSやニュースを見ていると、
どうしても他人の活躍や幸せが目に入ります。
でも、それらは“その人の物語”。

比べるたびに、自分のリズムを乱してしまう。
だからこそ、一日のうちで少しでも“比べない時間”を作ってみてください。

自分の呼吸に意識を向けて、
「私は私」と心の中でつぶやく。
それだけでも、自分の中心に戻ることができます。


まとめ ― 自分を認めることは、次に進む力になる

自分を認めるというのは、
「これで完璧」と思うことではありません。
むしろ、「まだ途中の自分も悪くない」と思えること。

どんな日も、どんな歩みも、
“ちゃんと生きてきた”という事実に価値があります。

そして、それを認めることは“終わり”ではなく、“次への始まり”。
心が満たされると、人にもやさしくなれる。
自分を肯定できる人は、周りの人の頑張りにも気づけるようになります。

「できなかったこと」よりも、
「やってきたこと」「続けてきたこと」に目を向けてみましょう。
そこに、あなたの“強さ”がきっと見つかるはずです。


🌿 あとがき
誰かに「よく頑張ったね」と言われるのを待たなくても、
自分で自分にそう言っていい。

完璧じゃなくても、
遠回りしても、
今日までのあなたは、確かに生き抜いてきた。

“ここまでの自分を認める”こと。
それが、これからを生きるためのいちばん確かな土台だと思います。

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