【はじめに】
「助けて」と言えない——。
その一言がどうしても喉につかえてしまう。
支援の現場でも、働く人との対話でも、この悩みを抱える方は本当に多いです。
そして、多くの人がこう思っています。
「迷惑をかけたくない」
「弱いと思われたくない」
「自分で何とかしなきゃいけない」
でも、頼ることは弱さではなく“働く力”のひとつです。
むしろ、うまく頼れる人ほど仕事が続き、環境に馴染むスピードも早い。
この記事では、
・なぜ「助けて」が言えないのか
・頼ることへの罪悪感との向き合い方
・実際に使える“頼り方のコツ”
を、福祉専門職・障害当事者としての視点からお伝えします。
1. なぜ「助けて」が言えないのか?
人は理由なく「頼れない」わけではありません。
背景には、こんな想いが隠れています。
- 自分が頑張れば何とかなると思ってしまう
- 頼った結果、拒絶されるのが怖い
- 「できない」と認めるのがつらい
- 人に迷惑をかけるのが苦しい
- 過去に助けを求めて傷ついた経験がある
どれも、人として自然で正当な感情です。
そして多くの人は、頼れない自分を責めます。
でも本当は、頼れないのではなく、
**「頼るのに慣れていないだけ」**なんです。
2. “頼る=迷惑”という思い込みから自由になる
支援の現場で出会った方の多くが、
自分が頼ったら誰かが苦しむと思い込んでいました。
でも実際には、
頼られた側が苦しんでいるケースはほとんどありません。
むしろ——
- 早く相談してくれた方が対応しやすい
- 限界まで我慢される方が周りは心配
- 助けを求められると、チームとして動きやすい
こうした声の方が圧倒的です。
あなたが相談することで、
「ありがとう、言ってくれて助かったよ」
と言われた経験はありませんか?
頼ることは迷惑ではなく、
職場を安定させる“チーム行動”のひとつ。
それは、弱さではなく「力」です。
3. “人に頼る力”はスキルであり、練習できる
「頼る」ことは性格ではなく、技術です。
身につけることができます。
たとえば——
- 短いメモで助けを求める
- 今の状況を一文で伝える
- 相談のタイミングを決めておく
- “今日はしんどいです”とだけ伝える
- 困り始めた時点で小さく声をかける
これらはすべて、
練習すれば身につくスキルです。
できる・できないではなく、
慣れているか・慣れていないか。
その違いだけです。
4. 上手に頼るための3つのコツ
①「短く・具体的に」伝える
例)
・「ここが難しくて止まっています」
・「〇〇の部分だけ助けてほしいです」
・「10分だけ相談できますか?」
相手の負担が明確になり、助けてもらいやすくなります。
② “困りすぎる前”に相談する
限界が来てから助けを求めると、
・伝えるのも大変
・周囲も調整が難しい
状態です。
「少ししんどいかも?」
と思った時点の“小さな相談”が、実は一番大切。
③ 相談してよかった理由を自分に言い聞かせる
頼ったあとの自己嫌悪を減らすために、
こんな言葉が有効です。
- 「早めに相談できてよかった」
- 「仕事が止まらずに済んだ」
- 「助けてもらったおかげで続けられた」
自分に“相談して良かった理由”を渡すことで、
頼ることへの抵抗が少しずつ減っていきます。
5. 自分を守りながら働くために
働くというのは、
一人で全部頑張ることではなく、
チームで支え合いながら進むこと。
頼ることが苦手でも大丈夫。
そのままでいい。
大切なのは、
“苦しくなりすぎる前に、ちょっとだけ声を出すこと”。
その小さな一歩が、
あなたを守り、働き続ける力になります。
まとめ:頼れる自分へ、少しずつ
- 「助けて」と言えないのは悪いことではない
- 頼ることはチームを強くする
- 頼り方はスキルで、練習できる
- 小さな相談があなたを守る
今のあなたのままで大丈夫。
できることを少しずつ増やしながら、
あなたらしい働き方を続けていきましょう。














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