「もっと強くならなきゃ」「こんなことで泣いてちゃダメだ」
──気がつくと、そんなふうに自分に言い聞かせていませんか?
特に、障害があると「しっかりしてるね」「えらいね」と言われがちで、
それがプレッシャーになったり、「弱さ」を見せることにブレーキがかかってしまうこともあります。
でも、本当に「弱さを見せること」はいけないことなのでしょうか?
今回は、私自身の経験も交えながら、「弱さ」とどう付き合えばいいのか、一緒に考えていきます。
“弱さ”って、本当に悪いもの?
「強くなりたい」と思う気持ちは自然なことです。
でも、ここで立ち止まって考えたいのが、「強さ」と「弱さ」は本当に反対のものなのか?ということ。
心理学では、感情を抑え続けたり、弱さを否定し続けると、心の柔軟性(レジリエンス)が低下すると言われています。
つまり、「弱さを受け入れること」こそが、本当の意味での「しなやかな強さ」につながるのです。
「ちゃんとしなきゃ」のプレッシャー
私は脳性麻痺による四肢麻痺があり、電動車いすで生活しています。
ありがたいことに「すごいね」「がんばってるね」と言ってもらえることも多いのですが、
そのたびに「ちゃんとしなきゃ」「完璧でいなきゃ」と思ってしまう自分がいました。
でも実際には、思うように体が動かないときもあるし、心がついていかないときもあります。
「舐められたくない」「迷惑をかけたくない」──そんな気持ちが強くなるほど、空回りしてしまうことも。
本当は、誰よりも「弱さを見せられない自分」を責めていたのかもしれません。
心理学で見る“弱さ”の価値
① 「自己開示」が信頼関係をつくる
心理学では、他者に自分の気持ちや悩みを伝えることを「自己開示」といいます。
この自己開示は、対人関係での信頼の構築にとても大きな効果があるとされています。
つまり、「実はね、こんなことで悩んでいて…」と“弱さ”を見せることは、相手との距離を縮め、より深い信頼関係を築くきっかけになるのです。
② 「コンフォートゾーン」の広がり
自分の“弱さ”や“苦手”を認めて、人に伝えることができると、「完璧じゃなくてもいいんだ」という安心感が生まれます。
それは、自分にとってのコンフォートゾーン(安心できる範囲)を広げることにつながります。
③ 自己受容は“変化”の第一歩
「こんな自分じゃダメだ」と否定するよりも、「今はこれで精一杯」「ここが今の私なんだ」と認めること。
それができてはじめて、人は次の一歩に進めると心理学では言われています。
私たちは、いつも“強く”なくていい
「しっかりしなきゃ」「弱音を吐いたらダメ」──そう思って頑張ってきた人ほど、自分の中にある“弱さ”に蓋をしてしまいがちです。
でも、人には「強さ」と「弱さ」両方あっていい。
むしろ、「弱さを自覚している人」ほど、本当は強いのではないかと私は思います。
あなたの“弱さ”は、誰かを支える力になる
実は、「自分の弱さを話してくれてありがとう」と言われたことがあります。
それは、私が仕事で落ち込んでいたとき、同じように苦しんでいた職員さんに話したときのこと。
「安心した」「自分だけじゃないんだと思えた」と言ってくれて、涙が出るほど嬉しかった。
弱さは、決して「足りなさ」ではなく、つながりを生む入口になるのだと、そのとき確信しました。
まとめ:「弱さを見せる」ことは、強さのひとつ
「弱さを見せる」ことは、決して恥ずかしいことではありません。
むしろ、自分を認め、相手を信じる強さの表れです。
あなたが今、どんな気持ちであっても。
「私はこれでいい」と思える瞬間が、少しずつでも増えていきますように。
そして、あなたの“弱さ”をまるごと抱えてくれるような、優しい出会いがありますように。
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