リード文
「使える制度があるのは分かっている。
でも、なぜか申し訳なさがある」
「自分より大変な人がいるのに、使っていいのだろうか」
そんなふうに、制度を使うこと自体に抵抗を感じたことはありませんか。
福祉制度は、生活を支えるために用意されているものです。
けれど実際には、「知っているのに使えない」「相談先があっても動けない」ということが少なくありません。
私自身、当事者として制度を使ってきた中で、
“手続きの大変さ”だけではなく、“気持ちの壁”の大きさを何度も感じてきました。
この記事では、制度を使うことに抵抗があるとき、どんなふうに考えれば少し動きやすくなるのか、その視点を3つに整理します。
制度の説明では終わらない、「実際に使うための考え方」をお伝えします。
目次
- なぜ制度を使うことに抵抗が生まれるのか
- “頼ること”に抵抗があるときの考え方3つ
- 制度を使えないまま抱え込みやすい人の特徴
- 最初の一歩を軽くするための工夫
- 制度は「甘え」ではなく「生活を整える手段」
なぜ制度を使うことに抵抗が生まれるのか
制度そのものよりも、実は「制度を使う自分」を受け入れにくい。
そんな感覚は、珍しいものではありません。
特に、これまで一人で頑張ってきた人ほど、
「支援を受ける=弱さ」
「制度を使う=迷惑をかけること」
のように感じやすいことがあります。
けれど、本来制度は、困った人が“特別に頼み込んで受けるもの”ではありません。
障害福祉サービスは市町村への申請を経て利用する仕組みで、計画相談支援ではサービス等利用計画やモニタリングが位置づけられています。つまり、制度は“必要な人が使うこと”を前提に設計されています。
“頼ること”に抵抗があるときの考え方3つ
① 制度は「特別扱い」ではなく「生活を整える道具」と考える
制度を使うことに抵抗があるときは、
まず「制度」を重たいものとして見すぎていないかを振り返ってみることが大切です。
たとえば、眼鏡を使うことに罪悪感を持つ人はあまりいません。
見えにくさを補うための道具だからです。
福祉制度も、それに近い面があります。
足りない部分を補い、生活を安定させるための手段です。
「使うかどうか」で自分の価値が決まるわけではありません。
制度は、“生き方の評価”ではなく“暮らしの調整”に使うものです。
② 「今すぐ全部使う」ではなく「相談だけでもいい」と考える
制度に抵抗がある人ほど、
「使うならちゃんと決めなければいけない」
「一度相談したら、何かを利用しなければいけない」
と思い込みやすいです。
でも実際には、最初の一歩はもっと小さくてかまいません。
障害のある人への相談支援は、制度やサービス利用に関する相談、計画作成、モニタリングなどを担う仕組みとして位置づけられています。最初から“全部決める”よりも、まずは「どんな選択肢があるかを知る」だけでも十分意味があります。
「利用する」ではなく、
「相談してみる」
「聞いてみる」
そのくらいの温度感で考えると、ぐっと動きやすくなります。
③ 「もっと大変な人がいる」は、使わない理由にならないと知る
制度を使うことに遠慮がある人ほど、
「自分より困っている人がいる」
と考えがちです。
もちろん、その感覚に優しさはあると思います。
でも、その優しさが自分を追い込んでしまうこともあります。
制度は、我慢比べで順番を決めるものではありません。
要件に当てはまり、必要があるなら使っていい。
それが制度の基本です。
実際、自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について自己負担を軽減する公費負担医療制度で、精神通院医療では自己負担が原則1割となり、所得に応じた上限額も設けられています。これは、「必要な人が継続的に医療を受けやすくする」ための仕組みです。
「もっと大変な人がいる」ではなく、
「今の自分にも必要な支えがあるかもしれない」
と考えてみることが大切です。
制度を使えないまま抱え込みやすい人の特徴
制度を使えないまま頑張り続けてしまう人には、いくつか共通点があります。
ひとつは、困りごとを言葉にする前に「これくらいは自分で何とかしないと」と考えてしまうこと。
もうひとつは、「使っていい理由」が十分にないと感じてしまうことです。
でも、生活は限界まで崩れてから整えるより、
崩れる前に支える方がうまくいきます。
制度は、“完全に困り切った人”だけのものではありません。
“生活を安定させたい人”にとっても意味があります。
そう考えられるようになると、制度との距離感は少し変わってきます。
最初の一歩を軽くするための工夫
抵抗が強いときは、いきなり大きく動かないことも大切です。
たとえば、
「自分が困っていることを3つ書き出す」
「通院先や相談先で一つだけ聞いてみる」
「相談支援専門員に“まだ迷っている”とそのまま伝える」
そうした小さな行動で十分です。
制度利用の手続きは、市町村への申請や計画の作成、見直しなど段階を踏んで進む仕組みです。最初の一歩で全部を背負う必要はありません。
“申請するかどうか”の前に、
“自分の困りごとを見える形にする”こと。
それが、現実的で始めやすい第一歩になります。
制度は「甘え」ではなく「生活を整える手段」
制度を使うことに罪悪感を持つ人は少なくありません。
でも、制度は誰かの厚意に特別にすがることではなく、社会の中に用意されている仕組みを使うことです。
必要な支えを受けながら生活を整えることは、弱さではありません。
むしろ、自分の状態を把握して、使えるものを選び取る力でもあります。
頼ることに抵抗があるときほど、
「私は甘えているのではなく、生活を整えようとしている」
と捉え直してみてください。
その見方ができるようになると、制度は“遠いもの”ではなく、少しずつ“使えるもの”に変わっていきます。
まとめ
制度を使うことに抵抗があるときは、
制度そのものよりも、「頼ること」への気持ちの壁が大きくなっていることがあります。
そんなときは、
・制度は生活を整える道具だと考える
・いきなり利用ではなく相談から始める
・「もっと大変な人がいる」を使わない理由にしない
この3つの視点を持つことが大切です。
制度は、使うことで“弱くなる”ものではありません。
うまく使うことで、暮らしを安定させるための手段です。
無理に一気に動かなくても大丈夫です。
まずは、自分の困りごとを認めるところから。
そこが、支援につながる最初の一歩になります。












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