メンタルヘルス

【「少し元気な日に頑張りすぎる」とき】調子のいい日を守るための考え方3つ

前回は、「早く元に戻らなきゃ」と焦るときの考え方を整理しました。
今回は、その次に起こりやすいしんどさについてです。

少し元気な日があると、「今のうちにやっておこう」「遅れを取り戻さなきゃ」と思いやすくなります。
でも、その勢いで予定を入れすぎると、せっかくの“少し元気”を使い切ってしまうことがあります。

結論から言うと、調子のいい日は取り返す日ではなく、立て直す日として使ったほうが、あとで楽になります。
この記事では、「少し元気な日に頑張りすぎてしまう」ときに、自分のペースを守るための考え方を3つにしぼってお伝えします。

目次

  1. なぜ少し元気な日に頑張りすぎてしまうのか
  2. 調子のいい日に無理をすると何が起こりやすいのか
  3. 調子のいい日を守るための考え方3つ
  4. 今日からできる小さな整え方
  5. まとめ

なぜ少し元気な日に頑張りすぎてしまうのか

少し動ける日が来ると、うれしくなるのは自然なことです。
ずっとしんどかった人ほど、「今のうちに家のことを片づけたい」「返せていない連絡を返したい」「止まっていたことを一気に進めたい」と思います。

そこには、元気になりたい気持ちだけでなく、「止まっていた分を取り戻したい」「これ以上、人に心配をかけたくない」という思いもあるはずです。
つまり、頑張りすぎてしまうのは怠けているからではなく、むしろ真面目で責任感があるからです。

ただ、心や体が少し軽い日があったとしても、それは「完全復活」の合図とは限りません。厚生労働省は、セルフケアについて「自分のできる範囲で自分の面倒を見ること」と説明し、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことを勧めています。元気な日が来たときほど、“やれる量”より“今の状態”を見ることが大切です。 厚生労働省「こころと体のセルフケア」

調子のいい日に無理をすると何が起こりやすいのか

いちばん起こりやすいのは、いい日を“使い切って”しまうことです。
今日できたから明日もできるとは限らないのに、予定を詰めすぎると、次の日にどっと疲れが出て、「昨日は動けたのに今日は何もできない」と落ち込みやすくなります。

しかも、そのときに「まだ本調子じゃない」と言えないと、周りからは“もう大丈夫そう”に見えてしまいます。感情を抑え込む傾向が強いほど、社会的支援を受けにくくなり、親しさや満足感も下がりやすいことが報告されています。つまり、無理をして平気に見せることは、気合いではなく、支えを遠ざけやすい行動でもあります。 PMC (PubMed Central) “The Social Costs of Emotional Suppression”

調子のいい日を守るための考え方3つ

1. 調子のいい日は「取り戻す日」ではなく「整える日」

少し元気な日は、失った分を一気に回収する日ではありません。
むしろ、生活のリズムを整えたり、気持ちに余白を戻したりする日です。

たとえば、洗濯も掃除も連絡も全部やるのではなく、「今日は洗濯だけ」「今日は返信を2件だけ」と決める。
そうすると、“できた感”を残したまま終われます。

回復は、勢いより継続のほうが大切です。
一日だけ100点を出すより、60点でも3日続くほうが、結果として生活は安定します。

2. 「まだできる」でやめるくらいがちょうどいい

調子のいい日は、つい限界まで動いてしまいがちです。
でも、本当に役に立つのは「もう無理」までやることではなく、「まだ少しできるけど、ここでやめておく」という止め方です。

厚生労働省も、つらいときは一人で我慢せず、その日の気分や体調に合わせてセルフケアを選ぶことを勧めています。
つまり、無理をしないことは“甘え”ではなく、状態に合わせた調整です。 厚生労働省「こころと体のセルフケア」

「やれるだけやる」ではなく、
「明日にも残せる形でやる」
この考え方に変えるだけで、ぶり返しにくさはかなり変わります。

3. 調子の良さは、記録すると守りやすくなる

元気な日は、「もう戻れたかも」と思いやすいです。
でも、気分や体調には波があります。だからこそ、感覚だけで判断しない工夫が役に立ちます。

おすすめは、スマホのメモに「今日できたこと」と「疲れたサイン」を1行ずつ書くことです。
厚生労働省は、気持ちを書くことで悩みと距離を取り、落ち着いて考えやすくなることや、読み返すことで新しい選択肢に気づきやすくなることを紹介しています。記録は大げさな日記でなくて大丈夫です。短くても、あとで自分の波を読む材料になります。 厚生労働省「今の気持ちを書いてみる」

今日からできる小さな整え方

実際にやるなら、まずはこれくらいで十分です。

今日は動けそうだと思った日でも、やることは3つまでにしてみてください。
そのうち1つは「絶対に必要なこと」、1つは「できたらうれしいこと」、もう1つは「休むためのこと」にします。
たとえば、「役所に連絡する」「洗濯する」「15分横になる」の3つです。

次に、誰かに伝えるときは、無理に元気なふりをせず、
「今日は少し動けますが、無理はしません」
「前よりはましですが、まだ余裕は少ないです」
くらいの一言で十分です。

NIMHも、セルフケアはメンタルヘルスの維持だけでなく、治療や回復を支える役割があると説明しています。元気に見せることより、回復を支える動きを選ぶほうが、長い目ではずっと実用的です。 NIMH “Caring for Your Mental Health”

まとめ

少し元気な日に頑張りすぎてしまうのは、前に進みたい気持ちがあるからです。
だからこそ、自分を責める必要はありません。

ただ、調子のいい日を使い切ってしまうと、次の日に苦しくなりやすくなります。
覚えておきたいのは、次の3つです。

  • 調子のいい日は、取り戻す日ではなく整える日
  • 「まだできる」でやめるくらいが、むしろちょうどいい
  • 調子の良さは、記録すると守りやすくなる

元気な日は、証明するための日ではありません。
生活を少し立て直すための日です。

全部やれた日より、少し余力を残して終われた日のほうが、あとで効いてきます。
回復は、勢いより配分。
ここは少しだけ、人生にもバッテリー管理の発想を入れていきたいところです。

参考文献・参照先

【「早く元に戻らなきゃ」と焦るとき】回復を急ぎすぎないための考え方3つ前のページ

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