「こんなに気をつかっているのに、あまり伝わっていない気がする」
「手伝ったあとに感謝の言葉がないと、こちらが勝手にむなしくなる」
そんなことはありませんか?
支える側にこうした気持ちが出るのは、心が狭いからではありません。むしろ、相手のことを大事に思って、時間も気力も使っているからこそです。だから、反応が薄かったり、感謝が見えにくかったりすると、「自分のしていることは意味があるのかな」と心が少し冷えてしまうことがあります。
ただ、本人がしんどいときや余裕がないときは、感謝の気持ちがあっても、それを言葉にしたり表情に出したりする力まで残っていないことがあります。厚生労働省は、こころや体がつらいときは、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことが大切だと案内しています。厚生労働省
また、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら関わること、必要に応じて合理的な配慮を行うことの大切さも示しています。厚生労働省
今回は、気をつかって支えているのに、感謝されないとむなしくなるときに見直したい、気持ちの置き場を整える考え方3つを整理します。
感謝を求めてはいけない、という話ではありません。むなしさに飲まれすぎず、関わりを続けやすくする整え方として読んでもらえたらうれしいです。
目次
- 感謝の言葉がないことと、気持ちがないことを分けて考える
- 「返ってきた反応」だけで支援の意味を決めない
- むなしさを我慢せず、自分の気持ちも整理しておく
1. 感謝の言葉がないことと、気持ちがないことを分けて考える
感謝されないと感じるとき、支える側はつい
「ありがたいと思っていないのかな」
「やっても当たり前だと思われているのかな」
と考えてしまいがちです。
でも、感謝の言葉が少ないことと、感謝の気持ちがないことは、同じとは限りません。
たとえば、
疲れていて返す余裕がない、
そもそも感謝を言葉にするのが苦手、
安心すると反応が薄くなる、
あとから気づくタイプ、
ということもあります。
その場では短くても、あとで同じ人にまた助けを求めてくるなら、それは「この人なら受け取ってくれる」という信頼の形かもしれません。
反応が自分の想像より小さいと、こちらは少しさびしくなります。そこは自然です。
ただ、そこで言葉に出ていないものまで“なかったこと”にしないことが大切です。支援は、拍手が返ってくる舞台ではなく、静かに効いていることも多いからです。
2. 「返ってきた反応」だけで支援の意味を決めない
むなしさが大きくなるのは、支援の価値を「ありがとうと言われたかどうか」だけで測ってしまうときです。
もちろん、感謝の言葉はうれしいです。人間なので、そこはきれいごとでは済みません。私も、無反応より一言あるほうが、やっぱりうれしいです。
でも、支援の意味は、返ってきた反応だけでは決まりません。
たとえば、
そのあと少し落ち着いていた、
一人では止まっていたことが少し動いた,
次も同じやり方で進められた,
本人の負担が少し軽くなった,
こうしたことも十分に支援の意味です。
厚生労働省が示す合理的配慮の考え方も、本人が参加しやすい形を整えることを大切にしています。厚生労働省
つまり、支援は「感謝を返してもらうこと」より、相手の障壁が少しでも下がったかどうかを見るほうが、本来の目的に近いです。
支える側の心を守るためにも、
「何が返ってきたか」だけでなく、
「何が少し軽くなったか」
を見る視点を持っておくと、むなしさに飲まれにくくなります。
3. むなしさを我慢せず、自分の気持ちも整理しておく
もう一つ大切なのは、「感謝されたいと思う自分」を責めすぎないことです。
支える側はまじめな人ほど、「見返りを求めるなんてよくない」と自分に言い聞かせがちです。けれど、時間も気力も使ったのに何も返ってこないように感じたら、むなしくなるのは自然な反応です。
その気持ちをなかったことにすると、あとで不満やイライラに変わりやすくなります。
厚生労働省は、もやもやした気持ちを紙やスマホに書き出すことで、気持ちと少し距離が取れ、落ち着いて考えやすくなると紹介しています。書いたものを読み返すことで、新しい見方に気づきやすくなるとも説明しています。厚生労働省
たとえば、
「何がむなしかったのか」
「感謝の言葉がほしかったのか、反応がほしかったのか」
「支援そのものより、続ける負担が重かったのか」
と短く書いてみるだけでも、気持ちは整理されやすくなります。
むなしさをなくすことより、むなしさの正体を見つけることのほうが大事です。
そこで初めて、次から支援の量を減らすのか、役割を見直すのか、誰かに相談するのかが見えてきます。
感情のメンテナンスは、支援のサボりではなく、長く続けるための保守点検です。
まとめ
気をつかって支えているのに、感謝されないとむなしくなるときは、
感謝の言葉がないことと気持ちがないことを分けて考えること、返ってきた反応だけで支援の意味を決めないこと、むなしさを我慢せず自分の気持ちも整理しておくことが大切です。
支える側だって、人です。
反応が薄ければさびしいし、続けば苦しくもなります。
だから必要なのは、「そんな気持ちを持ってはいけない」と押さえ込むことではなく、気持ちの置き場を整えることです。
感謝が見えにくい日があっても、支援の意味まで消えるわけではありません。
ただし、支える側の心がすり減ってよいわけでもありません。
相手も大事、自分も大事。
その両方を守る形に整えていくことが、いちばん長く続く支え方なのだと思います。
参考文献・参照先
- 厚生労働省「障害を理由とする差別の解消の推進」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/index.html - 厚生労働省「こころと体のセルフケア」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html - 厚生労働省「今の気持ちを書いてみる」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html











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