「ちゃんと伝えたほうが親切だと思って、つい説明が長くなる」
「誤解がないようにと思って話していたら、相手がだんだん疲れて見える」
そんなことはありませんか?
支える側に悪気があるわけではなく、むしろ丁寧に伝えたい気持ちがあるからこそ、言葉が増えていくのだと思います。ただ、本人がしんどいときや、考える力がもう少しでいっぱいのときは、説明が多いこと自体が負担になることがあります。厚生労働省は、障害のある人への関わりでは、一律のやり方ではなく、本人に合わせて参加しやすい形を整えることが大切だと示しています。つまり、たくさん説明することより、受け取りやすい形にすることが大事だということです。厚生労働省
今回は、よかれと思って説明しすぎてしまうときに見直したい、伝わりやすさを守る関わり方3つを整理します。説明の量を減らすというより、相手に届く形に整える工夫として読んでもらえたらうれしいです。
目次
- まず全部を説明せず、「今必要な分」から伝える
- 正しい説明より、「選びやすい言葉」にする
- その場で全部理解してもらおうとしない
1. まず全部を説明せず、「今必要な分」から伝える
説明しすぎてしまうときは、「大事なことを全部伝えなければ」と思っていることが少なくありません。けれど、本人が今必要としているのは、全部の情報ではなく、今ここで動くために必要な一歩分だけのことも多いです。
たとえば、手続きの説明なら、最初から流れを全部話すより、
「今日はまず、この書類を確認するところまでで大丈夫です」
「今決めるのは、この1点だけです」
と区切ったほうが、相手は受け取りやすくなります。
厚生労働省は、こころや体がつらいときは、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことが大切だと案内しています。この考え方は、情報の渡し方にもそのまま使えます。つまり、説明も“全部乗せ”ではなく、その人が今持てる量に合わせることが大切です。厚生労働省
2. 正しい説明より、「選びやすい言葉」にする
説明が長くなる理由の一つは、正確に伝えようとすることです。もちろん正確さは大切です。でも、言葉が難しすぎたり、選択肢が多すぎたりすると、本人は「理解すること」に力を使いすぎてしまい、「選ぶこと」までたどり着けなくなることがあります。
そんなときは、
「どうしたいですか」より「AとBなら、今はどちらが楽そうですか」
「何が必要ですか」より「今は、説明と手伝いのどちらが助かりそうですか」
のように、選びやすい形にしたほうが伝わりやすくなります。
厚生労働省は、悩みや気持ちを書き出すことで、頭の中を少し整理しやすくなると紹介しています。つまり、人は情報が多いほど分かりやすいわけではなく、整理されているほど考えやすいということです。支える側の言葉も同じで、賢そうな説明より、相手が動きやすい説明のほうが役に立ちます。厚生労働省
3. その場で全部理解してもらおうとしない
もう一つ大切なのは、「今ここで全部わかってもらおう」としすぎないことです。
本人が疲れているとき、緊張しているとき、言葉を受け止める余裕が少ないときは、どんなに丁寧な説明でも入りにくいことがあります。そんなときにさらに説明を重ねると、親切というより“情報の追いかけっこ”になってしまいます。
だからこそ、
「今日はここだけ伝われば大丈夫です」
「あとで見返せるように短く書いておきますね」
「今決めなくて大丈夫です。後で確認しましょう」
と、あとで戻れる形を残しておくことが大切です。
支援は、一回の説明で全部決着をつけることではありません。少しずつ伝わる形に整えながら、必要に応じて見直していくものです。ここを忘れないだけで、説明はずいぶん軽くなります。やさしさは情報量ではなく、戻りやすさに出ることもあります。
まとめ
よかれと思って説明しすぎてしまうときは、
今必要な分から伝えること、選びやすい言葉にすること、その場で全部理解してもらおうとしないことが大切です。
支える側は、丁寧であろうとするほど、つい言葉を足したくなります。けれど、本当に相手を助けるのは、説明の多さではなく、相手が受け取りやすい速さと形です。
たくさん話すより、少し届く。
支援の場面では、そのほうがずっと実用的なことがあります。
参考文献・参照先
- 厚生労働省「障害を理由とする差別の解消の推進」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/index.html - 厚生労働省「こころと体のセルフケア」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html - 厚生労働省「今の気持ちを書いてみる」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html









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