「本人のためには、少し見守ったほうがいい気がする」
「でも、うまくいくか不安で、つい口を出したり手を出したりしてしまう」
そんなことはありませんか?
支える側としては、失敗してほしくないですし、困っている姿を見るのもつらいものです。だからこそ、少しでも危なそうに見えると、先に言いたくなるし、先に動きたくなります。これは冷たさの反対で、むしろやさしさの出どころだと思います。
ただ、その不安のまま毎回口や手が出ると、本人が考える時間、試す時間、戻る時間まで先に埋まってしまうことがあります。すると、支えが安心ではなく、「いつも見られている感じ」「自分でやる前に決められる感じ」につながることがあります。
厚生労働省は、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら、必要に応じて合理的な配慮を行うことが大切だと示しています。厚生労働省
また、こころや体がしんどいときは、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶこと、一人で我慢しすぎないことが大切だとも案内しています。厚生労働省
今回は、支えすぎないほうがいいと分かっていても、不安で口や手が出てしまうときに見直したい、見守る力を整える考え方3つを整理します。
我慢して黙る話ではなく、不安に飲まれすぎずに支える形を作る話として読んでもらえたらうれしいです。
目次
- 不安が出たら、すぐ動く前に「何が心配なのか」を分ける
- 見守りを放任にしないために、「助ける線」を先に決める
- 口や手が出たあとも責めすぎず、次の見守り方を整える
1. 不安が出たら、すぐ動く前に「何が心配なのか」を分ける
不安で口や手が出るときは、頭の中でいろいろな心配が一気に混ざっていることが少なくありません。
たとえば、
- 本人が失敗して傷つくかもしれない
- 時間がかかりすぎるかもしれない
- 周りに迷惑がかかるかもしれない
- 自分が見ていられない
- 前にうまくいかなかったことを思い出している
こうしたものが混ざると、「とにかく今すぐ何かしなきゃ」となりやすいです。
でも実際には、その全部にすぐ対応しなくてもよいことがあります。
だからまずは、何がいちばん心配なのかを分けることが大切です。
危険の心配なのか、時間の心配なのか、それとも自分の気持ちのざわつきなのか。ここが見えるだけで、必要な支え方はかなり変わります。
厚生労働省は、気持ちや悩みを書き出すことで、あせりがやわらぎ、落ち着いて考えやすくなると紹介しています。厚生労働省
支える側も同じで、不安が出たら、まずは頭の中の「ごちゃ混ぜ」を少しほどく。
見守る力は、度胸より整理で育つことがあります。
2. 見守りを放任にしないために、「助ける線」を先に決める
見守るのが難しいのは、「どこまで待っていいのか」が決まっていないからです。
線がないまま見守ろうとすると、毎秒のように「今かな、まだかな」と判断することになり、支える側の不安はどんどん大きくなります。そうなると、結局すぐ口や手が出やすくなります。
だから大事なのは、見守る前に
- どこで声をかけるか
- どこで手を貸すか
- 何が起きたらすぐ止めるか
を先に決めておくことです。
たとえば、
「5分止まっていたら一度だけ声をかける」
「危険や大きな不利益があるときはすぐ助ける」
「それ以外は、まず一回は本人のやり方を待つ」
といった形です。
これは放任ではありません。むしろ、見守りを安心して続けるための準備です。
厚生労働省が示す合理的配慮の考え方も、相手の状況に応じて必要な調整を行うことを大切にしています。厚生労働省
見守る力は、何もせず耐える力ではなく、
「ここまでは待てる」
「ここからは助ける」
という線を整える力でもあります。
3. 口や手が出たあとも責めすぎず、次の見守り方を整える
不安に負けて口や手が出てしまうと、あとから
「またやってしまった」
「見守れなかった」
と自分を責めたくなることがあります。
でも、ここで全部を失敗扱いすると、次の場面でもまた力が入りすぎます。
大事なのは、責めることより、どこで不安が強くなったかを見ることです。
たとえば、
- 止まっている時間が長く感じたとき
- 周りの目が気になったとき
- 前の失敗を思い出したとき
- 本人が黙ってしまったとき
こうした「自分のスイッチ」が分かると、次の見守り方を整えやすくなります。
厚生労働省は、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことの大切さを案内しています。厚生労働省
この考え方は支える側にも必要です。
今日は不安が強い日なら、最初から見守りの線を細かめに決める。誰かと役割を分ける。メモを用意して口で言いすぎないようにする。
そういう調整で十分です。
見守れなかった日は、だめな日ではありません。
「次はこうしよう」が一つ見えたなら、それはもう更新です。
人の支え方は、一発で完成するより、少しずつ調整されるほうが自然です。
まとめ
支えすぎないほうがいいと分かっていても、不安で口や手が出てしまうときは、
不安の中身を分けること、助ける線を先に決めること、口や手が出たあとも責めすぎず次の見守り方を整えることが大切です。
見守るのが難しいのは、支えたい気持ちがあるからです。
だから必要なのは、「もっと我慢すること」ではなく、不安に飲まれにくい形を作ることです。
支援は、ずっと手を出すことでも、ずっと黙ることでもありません。
少し待ち、必要なところで助け、また少し待つ。
その行ったり来たりを整えていくことが、見守る力なのだと思います。
参考文献・参照先
- 厚生労働省「障害を理由とする差別の解消の推進」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/index.html - 厚生労働省「こころと体のセルフケア」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html - 厚生労働省「今の気持ちを書いてみる」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html









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