コミュニケーション

【できることを増やしたいのに、失敗させるのがこわいとき】支えながら任せる考え方3つ

「本人にできることを増やしてほしい。でも、失敗してつらい思いをしてほしくない」。そんな気持ちで迷うことはありませんか?

支える側としては、任せたほうがよい気もする。でも、うまくいかなかったときのしんどさを思うと、つい先に手を出したくなる。これは冷たさではなく、むしろ大事に思っているからこその迷いだと思います。

ただ、全部先回りすると、経験するはずだった機会まで減ってしまうことがあります。逆に、急に全部任せると負担が大きすぎることもあります。大切なのは、「任せるか、守るか」の二択ではなく、支えながら任せる形をつくることです。

厚生労働省は、障害者差別解消法の考え方として、障害のある人が社会の中で出会う壁を取り除くために、本人に合った必要で無理のない工夫やサポートを行うことが大切だと示しています 厚生労働省
今回は、できることを増やしたいのに、失敗させるのがこわいときに、支えながら任せる考え方を3つ紹介します。

目次

  1. 最初から全部を任せず、失敗しにくい形に小さく分ける
  2. うまくいかなかったことを「向いていない」で終わらせない
  3. 任せる前より、終わったあとの整理を大事にする

1. 最初から全部を任せず、失敗しにくい形に小さく分ける

任せることがこわいときは、任せる内容が大きすぎることがあります。
たとえば「この手続きを全部一人で」「この外出を最初から最後まで一人で」と考えると、成功か失敗かの振れ幅が大きくなります。

だから大事なのは、最初から全部を任せるのではなく、失敗しにくいサイズまで小さく分けることです。
たとえば、

  • 最初の連絡文だけ自分で作ってみる
  • 外出の準備だけ一人でやってみる
  • 手続きの流れを一緒に確認してから、一部分だけ任せる

このように区切ると、「全部できるか」ではなく「この一部分はどうか」で見られるようになります。

合理的配慮の考え方も、決まったやり方を押しつけるのではなく、その人に合う形へ調整することを大切にしています 厚生労働省
任せることも同じで、本人の力が出やすい形までサイズ調整してよいのだと思います。

2. うまくいかなかったことを「向いていない」で終わらせない

失敗がこわいときほど、一度うまくいかなかっただけで「まだ早かった」「やっぱり難しい」と結論づけたくなります。もちろん、無理を続ける必要はありません。でも、一回のつまずきで全部を閉じるのは少し早いこともあります。

厚生労働省は、つらいときや疲れたときは、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことが大切だと案内しています 厚生労働省
つまり、うまくいかなかった理由は「能力が足りない」だけではなく、

  • 手順が多すぎた
  • タイミングが悪かった
  • 疲れが重なっていた
  • 説明が分かりにくかった

ということもあります。

失敗を見たときに、「できなかった」で閉じるのではなく、「どこがやりにくかったか」を見つけるほうが、次につながります。
支える側に必要なのは、失敗をゼロにすることより、失敗を“調整の材料”として扱う視点なのかもしれません。

3. 任せる前より、終わったあとの整理を大事にする

支えながら任せるときに、意外と大事なのが終わったあとの時間です。
うまくいっても、うまくいかなくても、そのまま流すと「何がよかったのか」「どこがしんどかったのか」が残りにくくなります。

厚生労働省は、気持ちを書き出すことで、悩みと距離をとり、落ち着いて考えやすくなると説明しています 厚生労働省
これは、振り返りにもそのまま使えます。

たとえば終わったあとに、

  • どこは自分でできたか
  • どこで困ったか
  • 次は何を変えるとよさそうか

この3つだけでも整理できると、次の任せ方がかなり整いやすくなります。

任せることは、ただ「やってみて」で終わりではありません。
終わったあとに一緒に言葉にする時間があると、経験が“ただのしんどさ”で終わりにくくなります。ここがあると、次の一歩は少し踏み出しやすくなります。

まとめ

できることを増やしたいのに、失敗させるのがこわいときは、

  • 最初から全部を任せず、小さく分ける
  • うまくいかなかった理由を一緒に見直す
  • 終わったあとの整理を大事にする

この3つを意識すると、支えながら任せる形が作りやすくなります。

失敗を避けたい気持ちは、やさしさです。
でも、失敗をゼロにすることだけを目指すと、育つはずの経験まで止まりやすくなります。大切なのは、失敗しないことより、失敗しても崩れにくい形を一緒につくることなのだと思います。任せることと支えることは、反対ではなく、並べて持てるものです。

参考文献・参照先

【自立を大事にしたいのに、無理をさせてしまうとき】支え方の線引きを整える考え方3つ前のページ

【手伝ったほうが早いけれど、本人の力も大事にしたいとき】急がず支える関わり方3つ次のページ

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