コミュニケーション

【自立を大事にしたいのに、無理をさせてしまうとき】支え方の線引きを整える考え方3つ

「できることは自分でしてほしい」「本人の力を大事にしたい」。その思いは、とても大切です。けれど、ときどきその思いが強くなりすぎて、気づかないうちに無理をさせてしまうことがあります。

支える側としては、自立を奪いたいわけではない。むしろ逆で、本人の力を信じたいからこそ、「もう少し自分で」「できるところまでやってみよう」と考えることがあります。でも受け取る側にとっては、それが「頑張らないといけない圧」に変わってしまうことがあります。

厚生労働省は、障害者差別解消法の考え方として、障害のある人が直面する社会的な壁を取り除くために、本人に合った必要で無理のない工夫やサポートを行うことが大切だと示しています。支援は、一律の正解を押しつけることではなく、その人に合う形に整えることが土台です 厚生労働省

今回は、自立を大事にしたいのに、無理をさせてしまうときに、支え方の線引きを整える考え方を3つ紹介します。本人の力を大事にしながら、しんどさを増やしすぎない関わり方を考える記事です。

目次

  1. 自立を「一人で全部やること」にしない
  2. できるかどうかより、続けられるかどうかで見る
  3. 手を出すか見守るかではなく、一緒に調整する

1. 自立を「一人で全部やること」にしない

自立という言葉は、まじめな人ほど重く受け取りやすいです。支える側も、「本人のためには自分でやったほうがいい」と思いやすいです。でも、自立は「一人で全部やること」と同じではありません。

本当の意味での自立は、自分に合うやり方を選べること、必要な助けを使いながら生活を回せることでもあります。誰の手も借りずに全部こなすことだけが自立なら、かなりの人が毎日失格になってしまいます。実際の暮らしは、道具も人も制度も使いながら回っているからです。

合理的配慮の考え方も、本人の力を消すためではなく、社会の側にある壁を減らし、参加しやすくするための工夫です 厚生労働省
だから支える側も、「自分でやるか、手伝うか」の二択ではなく、「どうすれば本人の力を使いやすくなるか」で考えるほうが、支援の線引きは整いやすくなります。

2. できるかどうかより、続けられるかどうかで見る

無理をさせてしまいやすい場面では、「やればできる」が基準になっていることがあります。たしかに、その日一回だけならできることはたくさんあります。でも、それが毎回できるか、次の日にも生活が回るかは別の話です。

たとえば、予定を一つこなせても、そのあとで強く疲れてしまうなら、そのやり方は長く続けにくいかもしれません。厚生労働省は、つらいときや疲れたときは無理をしすぎず、その日の気分や体調に合わせて方法を選ぶことが大切だと案内しています 厚生労働省

つまり大切なのは、「できたか」だけを見ることではなく、「そのあとも無理なく続けられるか」を見ることです。
支える側がここを見られるようになると、「頑張ればできるからやろう」から、「続けやすい形に整えよう」へ、関わり方が少しやわらかくなります。

3. 手を出すか見守るかではなく、一緒に調整する

支援の場面では、「手伝いすぎはよくない」「でも見ているだけも違う」という迷いがよくあります。ここで苦しくなりやすいのは、手を出すか見守るかを、きっぱり分けようとするからかもしれません。

実際には、その間にたくさんの関わり方があります。
たとえば、

  • 最初の準備だけ一緒にする
  • 本人がやる間は待ち、困ったところだけ手を貸す
  • 後で疲れが残らない方法を一緒に考える

こうした「一緒に調整する」関わり方です。

厚生労働省は、気持ちを書き出すことで、悩みと距離をとり、落ち着いて考えやすくなると説明しています 厚生労働省
支援でも同じで、本人が何にしんどさを感じているのか、どこまでなら自分でやりたいのかを言葉にできると、線引きはかなり整いやすくなります。支える側が決めきるのではなく、一緒に話しながら調整する。そのほうが、自立も安心も両立しやすくなります。

まとめ

自立を大事にしたいのに、無理をさせてしまうときは、

  • 自立を「一人で全部やること」にしない
  • できるかどうかより、続けられるかどうかで見る
  • 手を出すか見守るかではなく、一緒に調整する

この3つを意識すると、支え方の線引きが少し整いやすくなります。

自立を大事にすることと、助けを使うことは、反対ではありません。
むしろ、必要な支えを使いながら、自分の暮らしを自分で選んでいけることのほうが、ずっと実際的な自立に近いと思います。支える側に必要なのは、頑張らせることではなく、本人の力がちゃんと生きる形を一緒に探すことなのかもしれません。

参考文献・参照先

【助けたい気持ちが強いほど、本人のペースを乱してしまうとき】待ち方と関わり方の整え方3つ前のページ

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