「この前はできたのに、今日はまた難しそう」
「少し進んだと思ったのに、また元に戻ったように見えてしまう」
そんな場面に、焦ったり、がっかりしたりすることはありませんか?
支える側としては、うまくいった日があると、つい「このまま続いてほしい」と思います。だからこそ、次の日に崩れたように見えると、「前の頑張りが消えてしまったのでは」と不安になりやすいのだと思います。けれど実際には、できたりできなかったりを行き来しながら整っていくことは、少なくありません。厚生労働省も、こころや体がしんどいときは、その日の気分や体調に合わせて無理のない方法を選ぶことが大切だと案内しています。つまり、毎回同じようにできないことは、必ずしも後退ではなく、状態の違いとして見る必要があります。厚生労働省
また、厚生労働省は、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら、必要に応じて合理的な配慮を行うことの大切さも示しています。支援の場面でも、「前にできたのだから今回もできるはず」と一律に見るのではなく、その人のその日の条件に合わせて考える視点が大切です。厚生労働省
今回は、うまくできた日が続かなくて、また元に戻ったように感じるときに見直したい、支える側が焦らない見方3つを整理します。
前に進んでいないように見える日も、見方を少し変えると、ちゃんと意味のある途中かもしれません。
目次
- 「毎回できる」を目標にしすぎず、条件の違いを見る
- できた・できないの二択ではなく、残っている力を見る
- 焦りは頭の中だけで回さず、記録して流れで見る
1. 「毎回できる」を目標にしすぎず、条件の違いを見る
支える側が焦りやすいのは、「一度できたなら、次も同じようにできるはず」と思ってしまうときです。
でも実際には、できるかどうかは本人の力だけで決まるわけではありません。
たとえば、
- その日はよく眠れていた
- 時間に余裕があった
- いつもの場所で安心できた
- 相手や手順に慣れていた
- 体の疲れや気持ちの重さが少なかった
こうした条件が重なると、普段より力が出やすいことがあります。反対に、同じことでも、疲れている日や予定が詰まっている日は難しくなることがあります。厚生労働省も、その日の気分や体調に合わせて方法を選ぶことを勧めています。厚生労働省
だから、「前はできたのに今日はできない」をすぐに後退と決めつけず、
「今日は何が違っただろう」
「どの条件がそろわなかっただろう」
と見ることが大切です。
支援は、根性の確認ではなく、条件の観察に近いところがあります。
2. できた・できないの二択ではなく、残っている力を見る
元に戻ったように見えるときほど、支える側の目は「できなかった部分」に集まりやすくなります。
でも、その日の全部がゼロになったわけではないことも多いです。
たとえば、
- 最後まではできなかったけれど、最初の一歩は自分で始められた
- 一人では難しかったけれど、声をかければ続きに戻れた
- 前より時間はかかったけれど、途中までの流れは覚えていた
- しんどさを言葉にできた
こうした部分は、見落とされやすいですが、ちゃんと残っている力です。
厚生労働省が示す「人格と個性の尊重」という考え方から見ても、その人を結果だけで見るのではなく、どういう形なら力が出やすいかを見ていくことが大切です。厚生労働省
支える側が焦らないためには、「今日は全部だめだった」ではなく、
「今日も残っていた力は何だったか」
と問い直すことが役に立ちます。
進み方は階段というより、少し波のある坂道に近いのかもしれません。
3. 焦りは頭の中だけで回さず、記録して流れで見る
支える側の焦りは、頭の中だけで考えていると強くなりやすいです。
「また戻ったかもしれない」
「このまま進まなかったらどうしよう」
と、不安だけが大きくなってしまうことがあります。
厚生労働省は、気持ちや考えを書き出すことで、悩みと少し距離が取れ、落ち着いて物事を考えやすくなると紹介しています。さらに、書いたものを読み返すことで、新しい見方や選択肢に気づきやすくなるとも説明しています。厚生労働省
これは支える側にも有効です。
たとえば、
- できた日には何がそろっていたか
- 難しかった日は何が重かったか
- 以前より少しでも楽になった部分はあるか
- 助けが必要なのは最初か、途中か、最後か
を短くメモしておくと、「また元に戻った」という感覚だけで見なくなります。
記録してみると、完全に戻っているのではなく、
「疲れた日は落ちやすい」
「時間に余裕がある日は進みやすい」
「一度止まっても声かけで戻りやすくなっている」
など、小さな変化が見えてきます。
焦りを減らすには、気合いより記録。
少し地味ですが、流れで見るだけで支える側の心はかなり落ち着きます。
まとめ
うまくできた日が続かなくて、また元に戻ったように感じるときは、
毎回できることを目標にしすぎず条件の違いを見ること、できた・できないの二択ではなく残っている力を見ること、焦りを記録して流れで見ることが大切です。
支える側は、前に進んでほしいからこそ、波のある様子に不安になります。
でも、波があることと、前に進んでいないことは同じではありません。
昨日より今日が少し難しい日があっても、長い目で見れば、その人なりの進み方の途中かもしれません。
進歩は、きれいな右肩上がりだけではありません。
少し戻る日があっても、見方が整っていれば、支え方はぶれにくくなります。
焦らず、あきらめず、流れで見る。
その姿勢が、本人の安心にもつながっていくのだと思います。
参考文献・参照先
- 厚生労働省「障害を理由とする差別の解消の推進」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/index.html - 厚生労働省「こころと体のセルフケア」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html - 厚生労働省「今の気持ちを書いてみる」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html










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